研究課題/領域番号 |
18H03206
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
土谷 隆 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (00188575)
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研究分担者 |
小原 敦美 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (90221168)
上野 玄太 統計数理研究所, モデリング研究系, 教授 (40370093)
中田 真秀 国立研究開発法人理化学研究所, 情報システム本部, 技師 (50469912)
北原 知就 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (10551260)
ロウレンソ ブルノ・フィゲラ 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (80778720)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 半正定値計画法 / 強双対性 / 内点法 / 共役勾配法 / 悪条件問題 / 恭順錐 |
研究実績の概要 |
本研究はいくつかの部分課題からなるが,本年度は,特に,悪条件半正定値計画問題に関する双対理論について大きな成果が得られた.悪条件半正定値計画問題とは,それ自身は内点実行可能解を持たないものの,無限小の摂動によって内点実行可能解が存在するようにできるような半正定値計画問題である.悪条件半正定値計画問題では主問題の最適値と双対問題の最適値の値の差が正となりうることが古くから大きな問題となってきた.主問題と双対問題の最適値の差が正であるような問題を考える.εとηを正の値とし,Iを恒等行列とする.主問題と双対問題をそれぞれ,εIとηIだけ摂動すると,摂動後の主問題と双対問題は内点実行可能解を持ち,したがって,εとηがどんなに小さくても,共通の最適値を持つ.一方,εとηをゼロに近づけて行くと,問題自身は元の主問題と双対問題に近づいて行く.摂動された問題はεとηがどんなに小さくても,共通の最適値を持つ.一方,元の主問題と双対問題は,異なる最適値を持つのである.このパラドキシカルな状況で何が起こるかを解明することに成功した.εとηの比率を固定したままεとηをゼロに近づけて行くと,摂動された主双対問題の最適値は,元の問題の主問題と双対問題の最適値の間の値に収束する.そして,その極限値はε/ηが0に近づくにつれて双対問題の最適値に,+∞に発散するにつれて主問題の最適値に収束する.これは,未解決であった問題に一定の解決を与えた,国際的にも最先端を行く成果であり, 悪条件SDPを解くのに有用な知見を与えるものである.さらに,この結果を用いて,非実行可能点列内点法の生成する点列の主目的関数と双対目的関数は,適切に補正することで,元の両問題の最適値の間に収束していくことを証明した.また,恭順錐という新しい従来よりも大きなクラスの凸錐を定義し,恭順錐計画問題についての誤差解析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
悪条件の半正定値計画問題の摂動解析について,双対定理の拡張につながる当初想定した以上の成果が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
悪条件の半正定値計画問題の摂動解析について,実代数幾何的手法を用いたさらに深い解析を行う.
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