研究課題
本研究では、これまでリスク評価が行われてこなかった代替ビスフェノールAであるフルオレン9-ビスフェノール(BHPF)のリスク評価を行い、リスクアセスメントに貢献することを目的としている。本年度はICRマウスを用いて、TG414に準じた出生前発生毒性試験も行った。プラグ確認後 5日目から帝王切開前日の17日目まで、3.75および37.5 mg/kg/dayの用量で妊娠母体に強制経口投与を行った。18日目に帝王切開を行って胎仔を摘出し、外表、骨格、内臓の異常について評価を行った。また陽性対照群としてタモキシフェンクエン酸塩(TAM;1 mg/kg/day)投与群を設けた。その結果、TAM投与群では母体体重、摂餌量の減少、生存胎仔数の減少が認められると共に、母体死亡数の増加が観察された(いずれも有意差あり)。またTAM投与群の胎仔では口蓋裂などの外表所見や血管形成異常などの内臓所見は認められなかったが、一部手や趾に骨格形成異常が認められた。一方でBHPF投与群においてはTAM投与群のような影響は認められなかったことから、BHPFに催奇形性はないものと考えられた。以上の結果から、BHPFはin vitroではTAMに匹敵する程の強力な抗エストロゲン作用を示すが、in vivoにおいてはTAMのような生殖発生毒性や催奇性はないものと結論づけられた。北京大学人民医院に来院している月経不順の患者を対象に行っているBHPF曝露との因果関係の調査については、当該年度も新型コロナウイルス感染症の影響でほとんど行うことができなかった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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