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2020 年度 実績報告書

高強度レーザー生成プラズマを利用したX線増幅過程の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18H03478
研究機関公益財団法人高輝度光科学研究センター

研究代表者

犬伏 雄一  公益財団法人高輝度光科学研究センター, XFEL利用研究推進室, 主幹研究員 (40506250)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードXFEL / レーザープラズマ
研究実績の概要

内殻電離状態のプラズマから放射されるKα線はそのエネルギーが数keVであり、XFELの光子エネルギーに相当するため、内殻電離状態の原子がX線の増幅のためのゲイン媒質として利用可能である。本研究では、高強度レーザーによりゲイン媒質となる内殻電離状態のプラズマを生成し、そこにXFELをシード光として入射することで、X線増幅を行う。2018年度にはシングルショットスペクトロメーターを開発し、それを用いたX線増幅実験を試みたが、ベリリウムレンズにおけるXFELの散乱がシングルショットスペクトロメーターのデータを著しく劣化させることがわかった。2019年度ではシングルショットスペクトル計測法の改良を行った。データ劣化の原因であるベリリウムレンズを用いず、かつ信号スペクトルと参照スペクトルの同時計測が可能な新たなシングルショットスペクトロメーターを開発した。このために、XFELの1次元集光のための楕円ミラーを、回折積分計算を用いて設計、製作した。この楕円ミラーとシリコン(111)分光結晶、X線CCDカメラを組み合わせてシングルショットスペクトロメーターを構築し、2020年度には、その動作試験として、レーザー生成プラズマのX線吸収分光計測を実施した。その結果、シングルショットのレーザーでCuの吸収端近傍の透過率変化を捉えることができた。この成果はReview of Scientific Instruments誌に掲載された。この新しい計測手法は、これはX線増幅の実験での使用に充分な性能である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2018年度にシングルショットスペクトロメーターの不具合が発覚したが、2019年度にその不具合を修正することができた。2020年度には、XFELを用いたレーザープラズマ実験に導入し、その動作を確認することができた。このスペクトロメーターは優れた性能を有しており、信頼性の高いデータの取得が期待できる。

今後の研究の推進方策

本研究での主力計測器であるシングルショットスペクトロメーターの開発は完了し、レーザープラズマ実験への導入も完了したため、今後はXFELと高強度レーザーを組み合わせたX線増幅の実験を実施する。ゲイン媒質として銅の薄膜を用い、そこに高強度レーザーを集光照射し、銅の内殻電離状態のプラズマを生成する。そのプラズマにシード光であるXFELを楕円ミラーにより1次元集光して入射する。銅のKα線は8.05keVなので、XFELはその光子エネルギーに合わせる。その下流側にシングルショットスペクトロメーターを設置し、増幅スペクトルの観測を行う。また、X線増幅の物理機構を明らかにするためには、プラズマ状態の診断が不可欠であり、シングルショットスペクトロメーターによる増幅スペクトル計測に加え、発光X線分光計測による電子温度・電離度などのプラズマ診断を実施する。このプラズマ診断として、既存の発光X線スペクトロメーターを用いる。このスペクトル形状と原子過程シミュレーションを組み合わせることで、プラズマの電離度、温度、密度を導出することが可能であり、X線増幅の物理機構解明とその効率化を目指す

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Spatially resolved single-shot absorption spectroscopy with x-ray free electron laser pulse2021

    • 著者名/発表者名
      Inubushi Yuichi、Yabuuchi Toshinori、Miyanishi Kohei、Sueda Keiichi、Togashi Tadashi、Kubota Yuya、Tono Kensuke、Yabashi Makina
    • 雑誌名

      Review of Scientific Instruments

      巻: 92 ページ: 053534~053534

    • DOI

      10.1063/5.0040899

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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