研究課題/領域番号 |
18H03496
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
安形 麻理 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (70433729)
|
研究分担者 |
徳永 聡子 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (60453536)
池田 真弓 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 講師 (70725738)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 書物史 / 聖書 / インキュナブラ / 活字文化 / グーテンベルク聖書 / デジタル |
研究実績の概要 |
本年度は主として課題①「初期印刷文化における聖書の形態的特徴の変遷の分析」に取り組み、基礎的なデータの収集を行った。まず、調査対象となるラテン語をはじめとする各言語による聖書の版を特定するために、15世紀の印刷本(インキュナブラ)の国際総合目録であるIncunabula Short Title Catalogue (ISTC)および16世紀についてはUniversal Short Title Catalogue (USTC)から調査対象を抽出し、各版についての書誌的事項や判型などの基礎的な情報を記録した。次に、個別の現存本についての書誌や目録を調査し、折丁の構成、ページの段組み、行数、使用されている活字の種類など可能な限り詳細に記録した。合わせて、デジタルアーカイブ等による画像の公開状況や複写画像の入手可能性についても調査し、可能な場合には複写依頼によるデジタル画像を入手した。画像の入手は次年度も引き続き行い、パラテクストの詳細な調査に用いる。 また、慶應義塾大学図書館が所蔵するインキュナブラを対象に、インキュナブラ全般の形態的特徴を、ページ・レイアウトや書体、文章構造の視覚的な提示方法、木版印刷による図版やその彩色、手書きの装飾、読者による書き込みなどの使用の形跡といった点から分析した。3月にはBritish Libraryの元インキュナブラ担当者を招き、小規模なワークショップを開催し、インキュナブラの調査方法や調査項目についてさらに検討した。 さらに、パラテクスト面での「あるべき姿」を支える技術としての活字の鋳造方法や活字の形態分析方法に関する分析をグーテンベルク聖書を事例として進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
16世紀前半印刷された聖書についての調査が残っているものの、おおむね順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
課題①については初年度に収集した基礎的なデータやデジタル画像を基に、パラテクストの分析を進める。また、課題②の分析に着手する。 研究代表者と分担者による研究集会の回数を増やし、総合的な分析を深める。
|