研究課題/領域番号 |
18H03578
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久保 智之 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (30214993)
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研究分担者 |
藤代 節 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (30249940)
菅原 睦 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50272612)
江畑 冬生 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (80709874)
林 徹 放送大学, 東京文京学習センター, 特任教授 (20173015)
栗林 裕 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (30243447)
山越 康裕 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70453248)
児倉 徳和 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70597757)
梅谷 博之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 講師 (60515815)
大崎 紀子 京都大学, 文学研究科, 教務補佐員 (90419458)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アルタイ諸言語 / 環境と言語の変容 / 都市化と言語の変容 / 人の移動と言語の変容 / 宗教の導入と言語の変容 |
研究実績の概要 |
本研究課題ではアルタイ諸言語(チュルク諸語・トゥングース諸語・モンゴル諸語)を対象とし,環境の変化(言語外的要因)と言語の変容の間の影響関係を探求している。現地調査(言語構造および言語外的な環境の観察)と文献言語の調査研究により、ユーラシア大陸各地におけるアルタイ諸言語の言語変容の事例を集約しつつある。 言語の変容に影響する要因として、3つの環境の変化(人の移動・都市化・宗教の導入)を中心的観点とし、研究が蓄積されつつある。次のような研究を進めた(一部を示す)。a. シベ族が中国東北地区から新疆イリに移動した(18世紀半ばすぎ)ことに伴う言語の変容を、文献言語である満洲語や、東北地区にわずかに残る満洲語口語と比較対照することによって、明らかにしようとしている。母音・子音の体系や、動詞活用に注目し、成果を国際学会などで発表した。b. 中国側に亡命・移住したブリヤート語話者の子孫が、移動(越境)・都市化(都市部での定住化)に伴ってどのように母語が変質したか、その実例を分析し、まとめたうえで国際学会にて報告した。c. キルギス語、カザフ語においてイスラーム的価値観の定着が言語に及ぼす影響を述語表現を中心に調査を行なった。 2018年度末には、九州大学において成果発表の研究会を行なった。また、同じく年度末に、ロシアとチェコから研究者を3名招聘し、九州大学と京都大学において国際研究集会を開催した。テーマは、ロシア語と中国語の言語接触、モンゴル語とシベ語の言語接触などに関するもので、本研究課題とも密接に関連しており、日本側との学術交流が深まった。 そのほか、国際学会での発表や、海外での現地調査(ロシア、台湾、オーストラリアなど)、学術交流も、積極的に行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
言語の変容に影響する要因として、3つの環境の変化(人の移動・都市化・宗教の導入)を中心的観点としている。それぞれの言語変容の事例は、多くのアルタイ諸言語を対象に、順調に集約されつつある。また、それぞれの成果は、国内の学会や国際学会などでも発表され、論文も作成されている。これらの状況から、本研究課題の研究は、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
言語の変容に影響する要因として、3つの環境の変化(人の移動・都市化・宗教の導入)を中心的観点としている。それぞれの言語変容の事例は集約されつつある。今後は、さらなる事例の集約に加え、他の観点を探ることや、環境の変化と言語の変容の関係について何が言えるのかの一般化が求められる。また、海外の研究機関と積極的な連携を行なうことも必要である。
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