研究課題/領域番号 |
18H03645
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋元 良明 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (50164801)
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研究分担者 |
木村 忠正 立教大学, 社会学部, 教授 (00278045)
森 康俊 関西学院大学, 社会学部, 教授 (00313065)
北村 智 東京経済大学, コミュニケーション学部, 准教授 (40511960)
是永 論 立教大学, 社会学部, 教授 (50275468)
片桐 恵子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (80591742)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 情報行動 / インタビュー調査 / 質問票調査 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
2018年度は、まず、先行研究の検討、既存調査の再分析、理論的検討を行なった後、(1)60歳以上の高齢者を対象とするグループ・インタビュー調査と(2)40歳から79歳までを対象に、インターネット利用を中心とする情報行動に関する質問票調査を実施した。 (1)は60代70代男女各2グループ、1グループ各6名、計4グループ24名を対象に、テレビ接触状況、インターネット利用の実態、ネットを通した動画視聴、ネット利用の功罪等についてインタビューした。インタビュー対象とした24名はほとんどがネットを積極的に利用しており、退職後も趣味や地域活動にいそしむ人が多かった。ただし、対象者は、いずれも東京都文京区在住者で必ずしも一般的な60代以上を代表する人たちではないことは考慮しなければならない。 (2)は、中央調査社の保有するマスターサンプルから、全国の40歳~79歳の男女1600人をランダムに抽出し、各種情報行動について質問したものである(有効回収票827)。70代について結果を見れば、70代のネット利用者は71.2%とかなり高率であるが、スマートフォン利用者は28.3%であった。また、ネット利用といっても大半がモバイル機器を通したメールだけの利用者であり、サイト・アプリの利用者(PC通しも含む)は43.4%にとどまり、いまだに年代的なデジタルでバイトが完全に解消したとはいえない状況であることが判明した。メッセージングアプリのLINEの利用者も、70代は21.8%にとどまるなど高齢者への普及は十分でなく、ネットショッピングの利用者も70代は20.3%にとどまる。そうした背景にコスト的な問題や周囲にサポートする人がいないという状況や、ネットにまつわるトラブルに大きな不安をいだいているという現状があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年に「日本人の情報行動調査」を実施するのが,今回の研究課題の大きな目的であり、とくに70代まで対象を拡大し、高齢者の情報行動の実態と課題をあぶり出すのが焦点となる。 2018年度においては、高齢者を対象とするグループインタビューを実施し、実際、高齢者がどのような情報生活を営み、どのようなことに不安を抱えているか、明らかにすることができた。 また質問票調査によって、高齢者の情報行動の実態のおおよそが把握でき、どのような項目を盛り込めばいいか明らかにすることができた。 質問形式的にも、テレビ視聴を集中的にしているか、漫然としているのか、パターンに応じた日記式記録調査形式を一部取り入れ、新たに、そうした形式を「日本人の情報行動調査」に取り入れる可能性の糸口をつかんだ。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、本研究の中核となる「日本人の情報行動」2020年調査の実施を2020年(平成32年)2~3月に実施する。これまでの日本人の情報行動調査同様、住民基本台帳に基づく層化2段無作為抽出、訪問留置法調査で、調査対象年齢を、これまでの全国13歳―69歳から79歳までに拡大し、有効回収標本数2000を目標とする。 また、50歳~79歳の高齢者を対象とした、情報行動の詳細、各種情報意識、生活満足度・幸福度等に関する調査(ランダムロケーションサンプリング、訪問留置法)を実施する。
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