硝酸イオンはシグナル伝達物質として機能し、硝酸シグナルに応答した遺伝子発現や代謝バランスなどの変化は硝酸応答と呼ばれる。硝酸応答ネットワークの起点となるNLP転写因子の標的遺伝子の同定と機能解析により、硝酸シグナルの生理的役割の全容に迫った。NLP転写因子の新たな標的遺伝子としてNADH合成経路の鍵酵素アスパラギン酸オキシダーゼ遺伝子やホメオドメイン-ロイシンジッパー型転写因子遺伝子などを同定し、これら遺伝子の機能解析によって、硝酸シグナルが窒素同化だけでなく種々の代謝経路を同調的に制御することが、窒素栄養環境に合わせた成長量の最適化に重要であることを明らかにした。
|