研究実績の概要 |
石油 (oil) と金 (gold) は、世界中最も重要な商品と戦略的資源であるため、石油価格と金価格の変動は世界経済の発展に対する影響が大きい。特にここ数年、商品市場の金融化(financialization)とともに、石油と金は、金融資産として活用されている。本研究は、東アジアの9つの国と地域(日本、中国、香港、タイランド、インドネシア、台湾、韓国、シンガポール、フィリピン)の株式市場のデイリーリターンを対象に、石油・金の価格との依存関係を考察する。
具体的に、東アジア各地域の株式と石油・金の価格に対し、ウェブレット変換解析を用い、短期間(2 days, 4 days)、中期間(8 days, 16 days)、および長期間(32 days, 64 days)それぞれに分解する。その後、コピュラモデルを用い、各地域の株式市場と石油・金の依存関係が上記のように分解されたそれぞれなスケール別にキャプチャする。最後に、各地域の株式市場と石油・金からなるポートフォリオのリスクのスケール変化かつ時間的変化を捉える。
これで、2つの結論を導くことができました。一つは、株式市場と石油・金の価格との異なった時間スケールの依存構造を示すことである。具体的に、時間スケールが大きくなるとともに、依存関係がどうのようになるか精察することができた。もう一つは、石油と金は、東アジア9つ国の株式市場の異なる時間スケールにおけるリスクを分散する効果を示すことである。具体的に、株式市場と石油・金からなるポートフォリオは、時間スケールの増加とともに、短期、中期、長期それぞれのリスクヘッジ効果がどの程度相違するのかを考察した。
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