研究課題/領域番号 |
18J13334
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
蛭田 佳樹 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | 乱流 / 乱流遷移 / 非平衡相転移 / 力学系 / 非一様乱流 / 秩序構造 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、非一様乱流のダイナミクスを記述する方法を構築し、大域的な時空間構造を理解することである。本研究は、個別の系の複雑さによらない視点から進めるために、主に周期境界領域で定義された決定論的に時間発展する非圧縮流体を対象とすることを特徴とする。研究目標の達成のために、対象の系に対して数値実験及び理論的計算を行った。非一様乱流乱流の大域的時空間構造について、主に壁境界系で観測される、亜臨界乱流遷移パラメタ近傍における非平衡相転移としての側面が近年注目を集めている。この場合、時間的定常な層流状態に乱流状態が埋め込まれた局在乱流と呼ばれる状態が、空間的素要素としての重要な役割を果たすことが知られている。本年度は、局在乱流が重要な役割を示す現象を新たな周期境界系で複数発見し、それらが重要であることを確認した。1つめの例として浮力によって駆動される系において局在乱流の出現を確認した。先行研究では壁境界に誘起されるせん断が乱れの駆動源であリ、新しいメカニズムによる局在乱流の発現の例として重要である。もう一つの例として壁乱流を模擬した周期境界系において、壁境界系と定性的に振る舞いが異なる遷移構造を発見した。乱流遷移のシナリオの中で、駆動力・境界条件がどのような役割を果たすか考察する際に重要である。これらの研究の中で、乱れの分布が従う拘束について支配方程式から予言する結果を得た。ダイナミクスの記述に関連し、局在した秩序構造が複数共存する状況における動力学を調べている。とくに、漸近状態として動的秩序構造の同期現象と呼ぶべき状態が発現することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
もとの研究計画と比較し、ダイナミクスの記述に関しては少し進捗が遅れているが、非線形解を求める計算コードの開発は終了しており実行を待つ段階である。時空間構造の理解に関しては研究計画における本年度及び次年度の目的は達成されつつある。総合的に勘案した結果進捗は、おおむね順調であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
ダイナミクスの記述に関して分岐構造をとくに非線形解との関係で調べる。これは非線形ダイナミクスを理解する基本的方法である。ただし、対象とする現象は空間的に局在した要素を単位とする動力学が現れているので、この現象を自然に捉える方策を、反応拡散系における先行研究を参考に開発中である。大域的な時空間構造については、現状局在乱流が出現することを確認した周期境界系で亜臨界遷移の転移点近傍での臨界現象を確認する。とくに、対応する有向浸透現象と臨界指数を比較する。また、局在乱流の出現・確率的な分裂の出現メカニズムについて対応する転移が起こるパラメータ域を詳細に調べ、分岐理論としての理解ができるか調べる。
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