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2023 年度 実施状況報告書

インドネシアにおける大正琴の受容と変容に関する民族音楽学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00130
研究機関静岡文化芸術大学

研究代表者

梅田 英春  静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (40316203)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2025-03-31
キーワードバリ島 / カランガッスム / 大正琴 / プンティン / タバナン
研究実績の概要

大きく二点についての研究を実施した。1点は、新たに結成されたプンティン(大正琴)グループの調査である。この研究対象は、カランガッスム県、カランガッスム村ベロン村にて結成されたコムニタス・スニ・ワセサ・アナンタ Komunitas Seni Wasesa Anantaである。このグループは国立芸術大学伝統器楽科の卒業生が中心となり、地域の若い世代の人々により構成され、カランガッスム県のほかのグループに比べると伝統的な作品を演奏するのではなく、現代的な創作曲をプンティン(大正琴)を使用して演奏することを目指している。
このグループの中心メンバーは、新たな創作作品の中にプンティン(大正琴)を使用するために、従来存在しているグループ(ムルドゥ・コマラ Murdu Komala)のメンバーに積極的に教えを乞うことで、結果的に、世代間を越えて同じ地域に二つのグループが共存することになった。ただ、コムニタス・スニ・ワセサは、プンティン(大正琴)を一部の作品には使うが、この楽器をすべての作品に用いるグループとは言えず、プンティン(大正琴)の可能性に注目し、新な展開を行う演奏団体と位置付けることができよう。今後の活動においてプンティン(大正琴)を用い続けるかどうかは、追跡調査が必要である。
二点目は、プンティン(大正琴)演奏法の習得である。楽器の持ち方などの基本姿勢、基本の演奏方法、日本の大正琴とは異なる独特のテクニックなどを直接、古くから活動するムルドゥ・コマラの演奏者から学んだ。
日本の大正琴と異なり、机上に置いて演奏するわけではないので、音階ボタンを見ることが難しく、その演奏方法の習熟にはかなりの時間が必要であることを体験から明らかにすることができた。演奏方法については最終年度に作成する報告書の中に触れたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度は、儀礼などの場における上演の役割を調査する予定であったが、現地におけるさまざまな理由により演奏予定が変更、あるいは中止になったため、調査の実施をすることができなかった。この儀礼のための現地調査に行くことはできなかったが、後日、記録映像をインフォーマントから提供されたが、年度末であったことでこの部分の研究を進めることができなかった。

今後の研究の推進方策

今年度は本研究の最終年であるために、これまでの調査で明らかになったバリ西部(タバナン県)と東部(カランガッスム県)において演奏される大正琴を起源とする楽器について、両地域を合わせて研究報告を作成することが目的である。なお、今年度経費についてもこの報告を作るために使用する予定である。
これまでバリ西部では、大正琴を起源とする楽器、マノリンmanolin, マンドリンmandolinについて報告してきたが、最終報告では、この起源と現状について詳細に報告する。なおバリ西部においては、プジュンガン村、ププアン村の二つの村での伝承を中心に記述する予定である。一方、西部地域においてはカランガッスム県アムラプラ周辺で演奏される(あるいはされてきた)グループの活動を調査の中心にしつつ、その起源と現状について報告する。
これらの報告はこれまで研究されてこなかった貴重な記録であることから、今後、書籍化も検討している。

次年度使用額が生じた理由

インドネシアにおいて調査予定であった演奏グループは急遽演奏を取りやめたことで、それにかかわる予算を使用できず、次年度に繰り越しが生じた。今年度は計画を変更し、研究成果の報告のための準備に使用する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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