研究課題/領域番号 |
18K00197
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研究機関 | 大阪芸術大学 |
研究代表者 |
河田 昌之 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (20712061)
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研究分担者 |
知念 理 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、大阪市立東洋陶磁美術, 大阪市立美術館, 主任学芸員 (80726969)
松尾 芳樹 京都市立芸術大学, その他部局等, 学芸員 (80728105)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 土佐派 / 住吉派 / 板谷派 / やまと絵 |
研究実績の概要 |
江戸時代前期から中期を中心とした土佐派(住吉派を含む)の作品の現存を調査し、データの集積を行い、土佐派の評価や中世・近世やまと絵の美術史的価値を再検討することによって、やまと絵の継承・創造を担った土佐派の性格、体制などを解明する視点を確立することを目的とする。この研究目的を達成するために、日本、アメリカの博物館、美術館をはじめ所蔵先での作品調査、情報収集を行った。調査は、研究代表者、分担者が共同もしくは個別に実施した。調査の内容は、作品の撮影、採寸、熟覧を中心にしたデータ収集と関連資料や聞き取りによる情報収集である。対象とした所蔵先は、国内では、東京藝術大学大学美術館、奈良国立博物館、京都国立博物館ほか、海外では、アメリカを中心にフリーア美術館、ボストン美術館(MFA)、ミネアポリス美術館、サンフランシスコ東洋美術館を選んだ。なかでもアメリカは事前に得られる情報量が多い美術館を対象にして、限られた期間内にできるだけ実績が挙げられることを優先した。作品調査とは別に、研究代表者は関連資料である「倭錦(本朝画事)」の調査を東北大学図書館で実施し、画像データ書誌データを収集した。 昨年、秋に、大阪府の和泉市久保惣記念美術館において、特別展「土佐派と住吉派」を実施した際に、研究代表者が展覧会当事者として企画と実施に関わり、また研究協力者が所属する堺市博物館において開催された特別展「土佐光吉」においても、平成30年度に実施した調査の一部を活かすことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
収集した画像や関連資料のデータの集約は、研究代表者ならびに分担者が個々に管理している状況であり、調査を継続した後にまとめて行うため最終年度まで保留にしている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き国内調査を行う。また海外調査としては、ヨーロッパを中心に、ドイツではフランクフルト 応用芸術博物館、ケルン市立美術館。イギリスでは大英博物館、フランスではギメ東洋美術館、フランス国会図書館ほかでの調査を行う予定である。事前調査で作品の所在は確認しており、未調査資料や再度調査を必要とする資料を対象にする。さらに、初年度アメリカでの調査を実施したが、新たな調査箇所を見出したので、アメリカにおける作品調査も継続する予定である。 研究代表者、分担者の役割分担にしたがって、個別に調査、研究を継続する。研究代表者は土佐派の画人の系図の検討として「倭錦(本朝画事)」の研究、分担者は土佐派と住吉派の比較(作画面)として流派体制確立期における土佐派、及び住吉派の作画範囲の確定、および土佐派と住吉派の比較(交流面)として流派体制確立期における土佐派、及び住吉派の支持階層、交流者らの調査と分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に予定していた海外調査のうち、先方の都合により調査日に変更が生じ先送りすることになった。その関連で、平成31年度の調査予定の一部を前倒しして、平成30年度に行うことにしたため、その経費の必要から、600,000円の前倒し支払い請求を申請した。 その結果、翌年度の調査の一部が前倒しになったが、調査自体は総合的に見ると予定通り遂行できることになり、大きな支障は生じない。翌年度は申請当初の計画にしたがって、海外と国内の調査、研究を行う予定である。
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