一枚の板材からあらゆる形を作り出す、世界に類をみない鉄打ち出し技法は、明治期に山田宗美によって開発されたが、現代に技法は継承されなかった。その失われた技法を、残された国内外の作品・文献資料の調査、鉄を加工する際の温度と雰囲気の選定などの金属材料学に大きく踏み込んだ実験、残された山田宗美の仕事場の写真から想定した道具・設備の開発により再現を目指した。特に、温度を管理して、酸化皮膜による質量の減少と打ち出し中に生じる残留応力の除去によるクラックの防止が重要であり、繰り返し実施した再現実験により、今まで完成に至っていない鉄打ち出し技法を現代に再現することが可能となった。
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