私はこれまでの自らの研究活動(セクシュアルマイノリティの権利、ジェンダー平等)の中で、社会的に排除されている人々が、常に芸術や表現と共に存在してきたという事実に気づかされた。だが現在の日本のアート現場では、むしろ人権やジェンダー平等に関する様々な問題が露呈している。芸術表現にとってマイノリティや人権は重要であるにもかかわらず、いざそこにコミットしようとすると表現倫理上の問題が表面化してしまうのである。本研究ではその点について検討した。その結果、大学や芸術の現場でのジェンダー平等の意識の低さ、また芸術実践の現場とマイノリティにかかわるNGOなど他セクターとの連携の弱さが課題として明らかとなった。
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