本研究は、楽屋正面壁の構造と使用方法に関する諸問題を総合的に考察しようとするものである。オリジナル・ステイジングの観点からすると、とりわけ重要な問題は、楽屋正面壁の開口部の数とカーテンの使用方法である。すなわち、左右のドアだけであったのか、あるいはその中間にカーテンに覆われた「発見の間」(discovery space) が存在したのか、という問題である。1580年から1642年までの間に執筆された劇作品の中のト書きを総合的に調査した結果、中央開口部の存在およびカーテンのロケーションを示唆する新たな例を数件発見することができた。それらに関する論文を3点執筆した。
|