モダニズム文学は一般にミドルブラウ文化・文学と敵対関係にあったと言われるが、本研究は、盛期モダニズムの隆盛後の1930年代英国において、ミドルブラウ作家たちが、教養と文化を求める労働者階級や下層中流階級の読者層にたいして、物語の面白さでアピールするだけでなく、1945年の福祉国家設立への布石となるような革新性を含む大衆教養主義を意識した執筆活動を定期刊行物や文学作品で行ったことを明らかにした。本研究はさらに、Manningなどイギリス作家がルーマニア、ギリシア、カイロにおいてBritish Councilを通じて現地の人々と交流し、イギリス国外の動向を視野に執筆活動を行っていたことを示した。
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