研究課題/領域番号 |
18K00432
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
吉田 直希 成城大学, 文芸学部, 教授 (90261396)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 消費文化 / ジャコバイト / ホイッグ主義 / 社交空間 |
研究実績の概要 |
ジョン・ブリュアの消費文化論を軸に、社交空間と消費空間の重なり合いに関する研究と20世紀の歴史化から着想を得たグローバル市民社会の可能性に関する研究から得られた理論的な枠組みをさまざまな文学作品の分析に応用可能なものとしていくことに取り組んだ。20世紀の歴史化においては、ハーバーマスの公共圏概念をジェンダー、フェミニズムの視点から再検討し、なぜ市民的公共圏が女性の視点を排除/包摂してきたのかをThe Women's Pettiton Against Coffee等のコーヒーハウス批判の言説分析によって明らかにした。 さらに、感受性文学の歴史的変遷をジョン・ゲイの文学作品の解釈とともに検討した点をふまえ、Pollyにおける植民地とジェンダーの関係を家族・性・結婚をめぐるナショナルな感受性文学との比較を通して明らかにした。その際、比較の対象としてヘンリー・フィールディングの小説作品で取り上げられているBlack Actの問題を参照点とし、植民地とジェンダーの関係を階級移動と関連付ける取り組みを行ってきた。具体的にはBlack Georgeの表象をジャコバイト取り締まりを目的とする様々な法律の観点から検証し、これをMacheathの黒人偽装の問題と絡めて検討した。また、この取り組みと並行して、The Beggar's Operaに表された反ホイッグ主義がジャコバイトの表象を通して諷刺的に評価される可能性を明らかにした。トランス・ナショナルな移動という側面については、他者との遭遇の重要性を移動の視点から哲学的・社会学的に論じたMobilities (Urry 2007) を参照しつつ、上述のナショナルな理論に接合する方法論について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定していた調査研究、研究会がコロナ禍によって延期されたため。
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今後の研究の推進方策 |
ハーバーマスの公共圏概念を再検討する際に、ジェンダー、フェミニズムの視点を取り入れ、女性の視点の排除/包摂してきたのか考察してきたが、その成果を基に、社交空間としてのコーヒーハウス批判に確認できるホイッグ主義をジャコバイトの問題と絡めて消費文化の分析に接合し、研究成果の報告によって総括を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で予定していた調査、研究会が延期となったため。代替の方法により速やかに実施するように計画している。
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