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2019 年度 実施状況報告書

活版印刷後の写本―メンテリン聖書筆写本における音韻変化表記を手がかりとして

研究課題

研究課題/領域番号 18K00463
研究機関立教大学

研究代表者

井出 万秀  立教大学, 文学部, 教授 (10232422)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードメンテリン聖書 / 活版印刷 / 写本 / 聖書ドイツ語翻訳
研究実績の概要

メンテリン活版印刷聖書の手書き写本として,ハイデルベルク写本(Cpg 16-18),バーゼル写本(Cod. AN II 36-37),ミュンヘン写本(Cgm 204/205)の3点については,創世記での転記・電子テキスト化が完了した。ベルリン写本(mgf 676-678)の転記・電子テキスト化にとりかかっている。転記・電子テキスト化が必要なテキストのうち,ヴォルフェンビュッテル写本(Cod. 1.6.1. Aug. Folio),ヴォルフェンビュッテル写本(Cod. 1.a Aug. Folio),ニュルンベルク写本(Solg. MS. 16.Folio) の3件が未着手である。
転記・電子テキスト化がおわった範囲では,若干,写本(方言)によって使用する語彙の違いがあるが,語彙レベルでは大きな相違は見られない。やはり方言に独特な音声をどう表記するかにおいてはっきりとした違いが認められ,メンテリン聖書では現代ドイツ語と同様に,新高ドイツ語二重母音化ei, au, euが二重母音として表記されているのに対し,写本では中高ドイツ語長単母音i, u, iuが依然として用いられている点が目立つ。どれくらい首尾一貫して古い中高ドイツ語長単母音が用いられているかに関して,写本毎に差違が見られる。語彙の頻度と表記の古さ・新しさに相関関係が見られるか否かは分析に値すると思われる。
挿絵がはいっている写本については,聖書(旧約)のどのようなシーンが図像化されているかについて考察してみる価値があるように思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

転記・電子テキスト化にかなりの時間を要する研究であるが,授業がない3月にテキスト転記に集中的に時間を割く予定であったが,次年度授業のコロナ対応オンライン化のため,ほとんど時間がとれない結果となってしまい,研究時間の確保が困難であったこと。
また,当初3月に予定してたインスブルック大学のAI写本転記プログラムとの共同研究がコロナのため,実現不可能になってしまったこと。
メンテリン聖書の手書き写本の転記・電子テキスト化は,創世記にまずは限定し,ハイデルベルク,バーゼル,ミュンヘン写本については完了,ベルリン写本作業中,しかしヴォルフェンビュッテル写本2点とニュルンベルク写本についてはまだ未着手であること。

今後の研究の推進方策

2020年度は,創世記の転記・電子テキスト化を全写本について完成させることを目標とする。転記の後はそれぞれのテキストを併記し,写本による修正の傾向を探求する。一方,別の印刷聖書の手書き写本の例として,Zainer-Bibel(ツァイナー聖書)とその写本1点,Koberger-Bibel(コーベルガー聖書)とその写本2点の電子コピーを入手し,転記・電子テキスト化に取り組む。
これらの転記の成果を,インスブルック大学のAI写本読み取りプログラムTranskribusとの協力で,転記の自動化にもとりかかる。

次年度使用額が生じた理由

AI写本転記プロジェクトの訪問がコロナのため,中止になったので,可能であれば今年度それを実現する。インスブルック大学が取り組んでいる写本AI読み取りプロジェクトにはすでに一度訪問を承諾してもらっているため,日本からオーストリアへの渡航が可能になり次第新たなアポイントメントをとり,訪問する予定である。デジタルコピーのあらたな入手と並んで,このAI転記を次年度の最優先課題とする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 31.Logisch-semantische Operation und deren Form - anhand der Ko- und Subordination2020

    • 著者名/発表者名
      Manshu Ide
    • 雑誌名

      Form, Struktur und Bedeutung. Festschrift fuer Akio Ogawa.

      巻: 1 ページ: 411-418

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ドイツ語書きことばの標準化の進展とルター2020

    • 著者名/発表者名
      井出万秀
    • 雑誌名

      ドイツ語と向き合う(シリーズドイツ語が拓く地平2)

      巻: 1 ページ: 147-166

  • [雑誌論文] 30.Macht der Analogie - ihr Potenzial und ihre Grenze. Was dem substantivierten Partizip zur Lexikonreife verhilft2019

    • 著者名/発表者名
      Manshu Ide
    • 雑誌名

      Neue Beitraege zur Germanistik

      巻: 16, 1 ページ: 124-138

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-01-27  

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