研究実績の概要 |
メンテリン活版印刷聖書の手書き写本として,ハイデルベルク写本(Cpg 16-18),バーゼル写本(Cod. AN II 36-37),ミュンヘン写本(Cgm 204/205)の3点については,創世記での転記・電子テキスト化が完了した。ベルリン写本(mgf 676-678)の転記・電子テキスト化にとりかかっている。転記・電子テキスト化が必要なテキストのうち,ヴォルフェンビュッテル写本(Cod. 1.6.1. Aug. Folio),ヴォルフェンビュッテル写本(Cod. 1.a Aug. Folio),ニュルンベルク写本(Solg. MS. 16.Folio) の3件が未着手である。 転記・電子テキスト化がおわった範囲では,若干,写本(方言)によって使用する語彙の違いがあるが,語彙レベルでは大きな相違は見られない。やはり方言に独特な音声をどう表記するかにおいてはっきりとした違いが認められ,メンテリン聖書では現代ドイツ語と同様に,新高ドイツ語二重母音化ei, au, euが二重母音として表記されているのに対し,写本では中高ドイツ語長単母音i, u, iuが依然として用いられている点が目立つ。どれくらい首尾一貫して古い中高ドイツ語長単母音が用いられているかに関して,写本毎に差違が見られる。語彙の頻度と表記の古さ・新しさに相関関係が見られるか否かは分析に値すると思われる。 挿絵がはいっている写本については,聖書(旧約)のどのようなシーンが図像化されているかについて考察してみる価値があるように思われる。
|