従来,活版印刷は即手書き写本にとってかわったと従来は思われていたが,実はそうでなく新たな役割分担が形成されたことを突き止めた意義は大きい。文化史研究の一般論として,このような「メディア転換」が文化的営みにどのような変革をもたらしたかは更に詳細に研究される必要がある。具体的には,写本伝承された文献のどれが活版印刷になり,どれがならないか,活版印刷文献では,写本伝承文献とどのような違いが出てくるか,という新たな研究課題である。これは昨今のデジタル化メディア転換と従来からの伝承文献との関係にも該当し,ゲームソフトに中世騎士物語などが普及している現象にも通ずる。
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