研究課題/領域番号 |
18K00479
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
Emde Franz 山口大学, 人文学部, 教授 (00209157)
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研究分担者 |
若林 恵 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00293001)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 共感覚 / 「語る」と「描く」 / 絵画と文学の交差点 / 映画手法と映像表現 / 文学と絵画 / 絵像と詩学的表現 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトでは、3回の研究打ち合わせないし研究会に基づき、研究内容やプロジェクトの各年度の実施計画を確認し、各担当者が研究概要を発表してきた。2018年5月26日に東京学芸大学で第1回目の研究打合せを実施し、研究期間全体の日程調整を行った。同年9月4日/5日両日にベルン市(スイス)のローベルト・ヴァルザー・センターやパウル・クレー・センターにて、当センターの研究協力者と研究打ち合わせを行い(第2回研究打ち合わせ)、現地での研究発表や研究関連の活動について議論し、準備方法や日程を決定した。 2018年11月2日~4日、山口大学にて研究会を開催した。発表者はプロジェクトメンバー5名で、各人が研究の中間発表を行った。クレー研究者の柿沼は「パウル・クレー、詩的表現と絵画的表現の交差」において、クレー絵画における表現方法を説明した。エムデはR.ヴァルザーや夏目漱石の作品から例を挙げながら「視覚」や「聴覚」の詩学的な表現方法について考察した。若林は、「R・ヴァルザーの詩 ―:響き・リズムを翻訳する」というテーマでヴァルザーの詩において、響きやリズムにおける翻訳の問題について具体的な翻訳例を挙げながら分析し、詩学的な視点においてヴァルザー詩作の特徴を考察した。松鵜(ドイツ語教師、翻訳者)はヴァルザーの小説『ヤーコブ・フォン・グンテン』の映画化であるQuay兄弟の映画作品「Institute Benjamenta」を紹介し、文学や映画の各々の表現の特徴について問題提供した。新本はヴァルザー作『盗賊』によるスイスのアーティストのティロ・シュテグライフ作の連作スケッチについて、文学の延長に物語の継続として見える絵画の解釈やその表現の可能性について議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究打ち合わせで決定された計画は順調に進んでおり、2018年9月にベルン(スイス)で研究協力施設の研究者と打合せを行い、現地での研究活動などについて可能な活動を決定した。具体的な日程は調整中である。 2018年の秋に山口大学で研究発表会を実施、本研究プロジェクトのコアテーマである「共感覚」について絵画、詩学、映像など多面的から議論し、方面になった課題を今後の研究作業によって解明していく。 2019年の夏にローレン(スイス)の翻訳者センターでの翻訳ワークショップの実施が予定されており、研究発表会は準備中である。翻訳ワークショップのための準備を行い、今年度の春の研究打ち合わせは、東京で行うことになるが、代表者のエムデは業務の事情により遠隔の形で参加する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年独文学会の春季研究発表会にて、プロジェクトメンバーが翻訳関連や演劇関連の研究発表を行う予定である。 さらに2019年マカオで開催されるICLA(国際比較文学大会)での発表を申請し、承諾された。研究発表は昨年の研究会での中間発表に基づいて行う予定であり、現在準備中である。2020年のパレルモ(イタリア)開催のIVG(国際ドイツ言語文学大会)に向けて研究を深めるべく、研究発表会を計画中である。IVGに続いて、スイスのベルン市で行われる「Berner Literaturtage」(ベルン文学際)の機会に、市民や文学関係者、出版関係者、文学研究者等に向けて、当研究プロジェクトの研究成果を公開することも予定されており、そのための準備も進めている。それぞれ発表した研究成果は学会誌や論文集に寄稿し、公開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定通りに研究会を行ったが、海外の参加者が研究会の時期に国内滞在中だったので海外旅費のコストが不要になったことにより旅費は減額になった。必要な物品なども予定額を下回ったので、次年度に利用する予定である。次年度(2019年)には海外での研究発表に利用予定である。マカオ(中国)開催のICLA大会やベルンとチュリッヒ(スイス)の研究会などが多くなるので、旅費に充てる予定である。必要に応じて一部は物品に充てる予定がある。
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備考 |
本プロジェクトの概要や研究会の日程などの情報を載せるメディアとして活用している。
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