研究課題/領域番号 |
18K00513
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
金 牡蘭 早稲田大学, 総合研究機構, その他(招聘研究員) (90732941)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 朝鮮演劇 / 村山知義 / 解放期 / 植民地朝鮮 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、朝鮮の演劇人たちと交流の多かった日本の演劇人村山知義の関連資料を中心に、植民地期および解放期における朝鮮の演劇状況について調べ、その成果を共著の形で発表した。その内容は、1920-30年代のプロレタリア演劇運動および新協劇団結成以降の、朝鮮演劇人との連帯の時代から、1945年の朝鮮での長期滞在、さらには日本に渡ってから朝鮮演劇と関連して行った様々な活動と論考を含める。また、簡単にではあるが、1957年日本新劇代表団の中国・北朝鮮訪問によって可能となった村山の北朝鮮訪問や晩年の70年代にまで続いた『春香伝』関連の活動にも触れることで、村山と朝鮮演劇という主題を通時的に把握することを目指した。 本研究成果は、このように村山を中心とするものであったが、彼と交流の深かった朝鮮人たち(安英一、李曙郷、李康福、金史良などの演劇人、そして趙沢元などの舞踊家)にも適時触れている。新型コロナの流行によって、日本で遂行可能な研究に集中するために、村山を中心とするものに当面の研究目標を修正したわけだが、その研究を通じて、安英一などの朝鮮演劇人の活動を通時的に再検討するという本研究課題の本来の目的も、一部果たすためである。 以上の作業を行うと同時に、昨年度に引き続き、解放後の朝鮮演劇の状況を広く理解するために、1940年代後半に韓国で刊行された文芸誌や総合雑誌を通読する研究会に持続的に参加し、『白民』や『民声』などにおける演劇関連資料の整理も行ってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題の部分的な修正などにより、進行に遅れが出たが、今後研究環境の改善が予想されるため、次年度以降はより本格的に本来の研究目標通り朝鮮演劇人に焦点を合わせた成果が得られると期待している。
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今後の研究の推進方策 |
これまで進めてきた村山知義中心の研究は、今年度その成果をまとめることができたので、次年度以降は安英一、金承久、李曙郷など、日本の演劇界で活動していた朝鮮の演劇人たちの国民演劇期および解放以降の活動を中心に研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ流行の影響で予定していた出張ができなかったため
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