本研究は我々が普段、人の話し声を聞いた時に、声の出し方や発音の仕方に基づいて、話し手に関する印象を形成する仕組みをより包括的かつ体系的に解明するために行われた。当初計画では、音声に基づく印象形成の3次元モデルを、計8言語の聴取者に印象評定実験を行って音声学的に検証する予定だったが断念した。代わりに、ラ行子音の発音実現の多様性が話者の印象形成に寄与する例として、いわゆる「巻舌」が悪役を演じる時に用いられるようになった経緯を調査した。さらに、音声に基づく印象形成のモデルの仕組み解明に音声生成の側から迫るため、日本・デンマーク・米国の3か国で、アマチュア演者が人物像を演じて発声した音声を収録した。
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