研究実績の概要 |
本研究では、語彙量と言語運用能力との関係性が高いことに着目し、日本語の語彙量の測定により、日本語運用能力との関係が検証できるオンラインテストの開発を行う。本研究グループが開発した「日本語語彙サイズテスト」「日本語学術共通語彙テスト(JCAWT)」について、文字情報のみのものと音声が使用可能なものとの二つのオンラインテストシステムを構築し、これにより、1) 文字言語と音声言語の語彙知識の比較、特に中国語系学習者と非中国語系学習者の語彙知識の発達の違い、2) 成人の日本語第二言語の語彙知識の発達と、日本語第一言語の語彙知識の発達の違い、3) 上述の語彙知識の違いは、読解力や聴解力とどうかかわっているか、について検証する。 初年度(2018年度)にオンラインテストの試作版が完成したことにより、2019年度はこれを用い、韓国人日本語学習者、中国人日本語学習者を対象にテストを実施し、データ収集を行った。また、本研究グループが既に開発した学術共通語彙テストを改善するため、2019年4月に日本人大学生を対象にJCAWT2.4を実施し、問題の精査を行った。そして、2020年度はオンラインテスト(文字版・音声版)を3大学の日本人学生及び留学生を対象に行い、データの収集を行った。 その成果としては、2021年度は論文「第二言語としての日本語語彙量と漢字力―第一言語と学習期間の影響― 」松下達彦, 佐藤尚子, 笹尾洋介, 田島ますみ,橋本美香 『日本語教育』 (178) を発表した。本論文は、2021年度『日本語教育』論文賞を受賞した。また、2022年度は、論文「日本語学術共通語彙の理解度の評価―大学生と小中学生の学年別比較― 」田島ますみ, 松下達彦, 佐藤尚子, 橋本美香, 笹尾洋介『リメディアル教育研究 』16(25) を発表した。
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