研究課題/領域番号 |
18K00841
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
浅岡 千利世 獨協大学, 外国語学部, 教授 (30296793)
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研究分担者 |
秋山 朝康 文教大学, 文学部, 教授 (20383218)
臼井 芳子 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (40296794)
渡辺 敦子 文教大学, 文学部, 教授 (70296797)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 振り返り / 英語教師 / 教師の成長 / コミュニティ形成 / オンラインコミュニティ / リフレクション / 教師としての専門性 / 質的研究 |
研究実績の概要 |
2020年度は、2018年度および2019年度の2年間にわたって行った英語教師を目指す教職課程履修者の教師としての成長の振り返りの過程と、学年や大学を超えた振り返りの共同体の形成過程の探究の調査(主にオンラインジャーナルとフォーカスグループインタビューによる)の質的データ分析を行った。 主な結果は次の3点である。1. 教職課程履修者は教員養成課程において自らの成長を振り返る際に他者(この研究の場合はピアであり、学年が異なることでメンターでもある他の教職課程履修者を指す)の存在が重要である。2. オンラインジャーナルやフォーカスグループインタビューにおいてのやり取りやフィードバックにはお互いが成長するための様々な機能がある(例として共感、気づきなど)。3.学年や大学を超えて形成した共同体は、教師としての自らの成長を振り返り、それを言語化する場、また新しい視点を得てさらに教師としての専門性を向上させる動機付けの場として意義がある。さらに、今回オンラインジャーナルというデータ収集方法を用いることで、時間や場所にとらわれない振り返りの場を構築することが可能であることがわかった。 また教職課程履修者の実践や省察を通して得られた知見から、今後は一つの大学の教職課程を超えて地域における中等英語教員養成のための共同体のフレームワークを策定し、その共同体の維持と発展をどのように行うかが新たな課題であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析結果については当初2020年度8月に行われる予定だったWorld Congress of Applied Linguistics(国際応用言語学会)にてUnderstanding the trajectory of pre-service EFL teachers’ professional development in a community of practiceというタイトルで口頭発表を行う予定であったが、コロナ禍で大会が延期されたため、2021年8月に発表を行う予定である。また、この研究は当初の予定通り質的研究手法に基づいてデータ収集および分析を行っているが、内容分析をさらに充実・発展させるために計量テキスト分析も並行して行うこととした。そのため2020年度はそれぞれが計量テキスト分析に関するワークショップへの参加を通して量的・質的方法を組み合わせたデータ分析方法の理解を深めることを行なった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は得られた知見を用いて振り返りを通して成長し続ける英語教師のためのフレームワークの構築とその内容を学会誌論文などで発表する予定としている。また振り返りのプロセスをさらに理解するために、データ協力者の追跡調査のための質的インタビューを2021年度に新たに行うことにしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度にオランダで開催される予定であった国際応用言語学会で研究発表(発表者2名)を行う予定であったが、コロナ禍で学会が延期された。また2021年度は現地ではなくオンラインでの開催となったため、学会参加費以外は予定していた旅費等を使用しないことになった。また、2020年度にデータ分析を進めた結果、当初の質的内容分析に合わせて、計量テキスト分析を行うこととしたため、その分析用ソフトの購入や分析方法の理解を深めるための書籍購入などを行う。また、振り返りのプロセスをさらに深く理解するためにデータ協力者の追跡調査としてのインタビューを2021年度に行う。そのためデータ起こしが必要となる。
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