研究課題/領域番号 |
18K00855
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研究機関 | 新潟経営大学 |
研究代表者 |
川崎 眞理子 新潟経営大学, 観光経営学部, 教授 (30779989)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 読み書き能力 / EFL |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本語を母語とする英語学習者の接触する(日々目にする)英語の綴りの特徴が、読み書き(綴り)のプロセスやその学習に与える影響を実験的に検討することである。 行動実験による読み書きの正確さや速さを測定するとともに、質問紙や面接により、学習者が単語を読むときに何を考慮しているか、書くときはどうかなども検討材料とする。この結果から、効果的な指導・学習方法への示唆を導き出そうとしている。 2019年度末に実施した行動実験のデータを分析し、2021年度夏に全国英語教育学会にて発表した。当該年度は、コロナ感染症の影響が続き、行動実験の実施が困難と予測し、代替として、学習者に1年間多読課題を提供し、読書の時間、読んだ総語数、そして読む速さを測定した。加えて、認知スタイルの一つである場依存・独立性を図るテストを実施した。そのほか、発話運用能力の試験も実施した。評価項目のうち、発話の流暢性や発音は予想どおり、認知スタイルや読書語数とは無関係であったが、語彙力と認知スタイルに弱い相関が見られるため、綴り力との相関が見られる可能性を考え、分析を進めている。1年間の学習成果としてとらえ、それぞれの指標と、暗示的な綴りの知識の関連性を探るものである。 実験・調査のほかに、これまでの研究成果から教育への示唆として、「英語リーディングの認知科学 文字学習と多読の効果をさぐる」を共同編著し、2021年11月にくろしお出版より発刊した。執筆は、読み書きの認知プロセスと効果的指導方法関する部分である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
まず、2020度に引き続き、特に夏季休暇中に遠隔授業や対面対応の規制が課せられ、対面での行動実験が実施できなかった。加えて、実験協力者としてアクセスできる最大学生数が、前年度の4分の3に減少し、協力者のリクルートが困難となった。さらに、エフォートを下げたものの、人員削減等で校務に追われることとなり、研究の時間が確保できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度はさらにアクセスできる協力者数が減るため、協力者のリクルート、実験方法の見直しを行う。これまで量的実験を主体としてきたが、学習者の縦断的追跡等の質的研究も並行して実施するために、先行文献調査を急ぐ。 なお、2019年度実施の実験から問題点が明らかになったため、学習者の実態に合わせてアルファベット処理知識を測定できるよう変更し、対面またはWEB実験を実施する。 同時に、新たに研究結果を指導者養成に反映させることを目的とした書籍を共同執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症の影響により、国内外の学会が遠隔または参加不可能となり、旅費予算額が全額未使用である。2022年度は海外も含めて研究会や学会活動の再開を見込んでいる。
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