一般の認識、および既存の学術研究では、先住民集団を既定のものとし、国毎に論じられることが多い。しかし本研究では米加国境を跨ぐ領域(ボーダーランズ)を生活圏とする集団の在り方がヨーロッパ人入植以前の先住民集団のかたちに最も近いことを立証し、それがいかに両国家の「内部」に先住民として包摂され、その結果実体の変容を強いられるに至ったのかという点を議論した点に、学術的/社会的意義があると考える。 また以上のような分析から本研究は、米加のみならず世界における国家と先住民の適切な関係構築のための知見と方策を見出し得る可能性も有している。
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