近世京都の市街地の大半を占めていた町家での地震被害を取り上げ、これまで地震学の分野における歴史地震研究では対象とされなかった、被害が小規模または無被害の町家についてその要因を検討した。本研究では、従来の研究のような地震関連史料だけでなく、建築関連の史資料や絵画史料も活用して、個々の町家における特性が地震時の被害状況に影響を及ぼしていた実態を提示できた。 このような研究成果を活用することで、今後、現在の京都市街地が大地震に襲われた場合、個々の町家が受ける被害は一様ではなく、間口や奥行きや屋根の高さといった形態や補修の頻度の差異などによって、被害程度に変化が生じることを提言できる。
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