研究課題/領域番号 |
18K01022
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平松 英人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (50755478)
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研究分担者 |
猪刈 由紀 清泉女子大学, 文学部, 非常勤講師 (10773583)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 社会福祉史 / キリスト教史 / 市民社会史 / ドイツ史 / キリスト教社会事業史 / カリタス / アーヘン / ハンブルク |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度までに実施した研究に、新たに海外から取り寄せた資料の分析を加えて、総合的な研究成果の取りまとめに着手した。その一環として、19世紀イギリスの国家と社会と宗教との関係の研究に取り組んでいる日本大学法学部の馬渕彰教授と共同で、キリスト教史学会第72回大会において、シンポジウム「近代都市形成期のキリスト教と社会事業:黎明期の苦悩」を企画し、研究代表者がパネリストとして、研究分担者がコメンテーターとして参加した。他には、同志社大学の木原活信教授、日本大学の大岡聡教授、日本福祉大学の永岡正己名誉教授、そして大妻女子大学の石川照子教授が参加し、それぞれイギリス、アメリカ、日本、中国での市民の社会的参加における宗教的動機と、社会や宗派間・宗派内における緊張・相互関係について報告し、活発な議論が行われた。今後このような国際比較をさらに進めていくことで、ナショナルヒストリーの枠組みでは得られない新たな知見の獲得が期待できるシンポジウムとなった。さらに本シンポジウムでの報告をまとめた論集の出版が決定したことも、今年度の大きな成果であった。 そのほかの研究実績としては、研究代表者が、青山学院大学総合研究所プロジェクト「住宅政策・構想が地域社会に与える影響に関する史的研究」研究会において「19世紀前半ドイツ都市おける住宅問題へのまなざし-アーヘンの事例」と題する研究報告を行った。この報告では、近代都市における住宅問題について、19世紀後半、特に20世紀前半の時代を対象とした研究が多い中で、アーヘンを事例として、18世紀後半から19世紀前半における貧民の住宅問題の実態と、それに対する教会や市民社会のまなざしを解明するための準備作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度も、新型コロナウイルス感染症の影響により、海外調査を断念せざるを得なかったが、これまでの研究成果を総括し、発表する場として、学会でシンポジウムを企画・実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題で得られた成果を次の研究課題に継承・発展させるため、2022年度は海外での調査・研究を実施する予定である。あわせて2021年度に実施した学会シンポジウムの論集を出版する準備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症により海外での資料調査ができなかったが、その分の予算は主として翌年度に計画している海外渡航の旅費として使用する予定である。
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