研究課題/領域番号 |
18K01115
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研究機関 | 大阪市立自然史博物館 |
研究代表者 |
山西 良平 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 外来研究員 (70132925)
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研究分担者 |
佐久間 大輔 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 学芸課長代理 (90291179)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 博物館評価 / 博物館における学術研究 / 博物館法 / 博物館ワークショップ |
研究実績の概要 |
1.研究会「自然史系博物館における学術研究とその位置づけを考える」の開催 博物館法や望ましい基準においては学術研究の位置づけが必ずしも十分でなく、また博物館現場においてもその取扱いは千差万別であるという現状認識のもとに、自然史系博物館の事例と現状を題材としつつ、博物館における学術研究の意義と評価について事例を交換する機会を設けた。開催日:2018年10月10日、会場:大阪市立自然史博物館。共催:西日本自然史系博物館ネットワーク。事例報告:科研費事業が博物館活動にもたらした波及効果(大阪市立自然史博物館)、琵琶湖博物館の研究と研究評価、面河山岳博物館の地域に根差した研究活動。コメント:アカデミーからの視点、博物館行動規範における研究の位置づけ。参加者:13名。 2.「博物館の在り方を考える研究懇談会」の開催 博物館行政に関わる近年の状況変化(文化財保護法の改正、観光立国、文化芸術推進基本計画、博物館行政の文化庁への移管、社会教育施設の所管の弾力化など)に対する博物館側の対応を中心に、ICOM大会後を見据えた今後の博物館の在り方について、博物館関係者14名に呼びかけ、フリートーキングの場を設けた。第1回:2018年12月10日(出席者7名)、第2回:2019年2月4日(出席者10名)、会場はいずれも日本博物館協会会議室(東京都台東区)。 3.ワークショップ「評価」研究会の開催 近年各地の博物館において教育活動の一環として実施されているワークショップに対する評価手法について一定の提言を形成することを目的とした研究会を今後数回開催することとし、今年度は第1回として「ワークショップと学習目標との関係」をテーマとした研究会を開催した。開催日:2019年1月11日、会場:大阪市立自然史博物館、出席者:7名。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
博物館評価については、学術研究と博物館ワークショップをそれぞれテーマとした研究会を開催した。また博物館法における評価と博物館協議会の位置づけについては、「博物館の在り方を考える研究懇談会」において論議している。 2018年夏に科研費の種目「挑戦的研究(開拓)」において「ミュージアムの新たな評価手法構築に関する実践研究-社会的価値と事業改善に着目して」(課題番号:18H05305、研究代表者:佐々木亨氏、北海道大学)が採択され、それに基づく「ミュージアム評価研究会」が開催されている。そこで、本研究との間で取り組みの重複が生じることを避けるために相互に連携を図っている。また本研究開始当時、博物館法改正の方向性は流動的であったが、博物館行政の文化庁への移管以降、抜本的な法改正への動きが行政サイドにおいて速まっており、むしろ博物館側の対応が遅れている。 これらの新たな状況に鑑み、本研究の柱として当初設定した「博物館法改正の展望と新たな登録(認証)制度を論議する研究会」については、喫緊の課題となった博物館法改正を博物館学の立場から検討する「博物館の在り方を考える研究懇談会」として開催している。 また、本研究において取り組む予定である博物館の「基礎的な共通基準案」(日本博物館協会、2017年)の妥当性と有効性を検証する課題については、2019年度においてウェブアンケートを実施する予定であり、その原案はすでに作成している。
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今後の研究の推進方策 |
「博物館の在り方を考える研究懇談会」を5月までに2回開催し、博物館法改正に関わる論点を持ち寄って集約し、参加メンバーおよび関係者による論集を作成する(夏に編集、秋に公表予定)。また論議されてきた内容については、山西が全日本博物館学会研究大会(6月22‐23日、新潟)において講演する。 ICOM(国際博物館会議)は博物館の定義の見直し作業を進めているところで、2019年9月の京都大会において、新定義が採択される予定である。この定義変更は、予定されている日本の博物館法改正にも影響を与えると予想されることから、京都大会に参加し、論議の内容を把握する。 ウェブアンケートは「博物館評価・登録制度改正のための学芸員意識調査(2019)」として現場の学芸員を主な対象として実施し、「基礎的な共通基準案」をブラッシュアップすることを目指すとともに、日本博物館協会が2019年度に進めている「博物館総合評価」を補完するものと位置づける。結果の集約と公表は今年度内を予定している。 ワークショップ「評価」研究会については、今年度も引き続き複数回の開催によって博物館の教育活動、特にワークショップに対しての評価手法についての一定の提言を形成することを目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
繰越金の理由は、研究会開催に伴う旅費・謝金の決算において当初の見積もりとの若干の差額が発生したことにある。 2019年度は、「博物館の在り方を考える研究懇談会」並びに「ワークショップ『評価』研究会」の継続開催に伴う旅費および人件費・謝金を前年度並みに計上し、さらに提言書の編集、アンケートの集計に関わる人件費及びICOM京都大会参加費等を上積みして使用する計画である。
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