研究課題/領域番号 |
18K01115
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪 |
研究代表者 |
山西 良平 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 外来研究員 (70132925)
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研究分担者 |
佐久間 大輔 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 学芸課長代理 (90291179)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 博物館評価 / 博物館法 / 博物館登録制度 / 学芸員・人材養成 / 博物館の定義 / 博物館倫理 |
研究実績の概要 |
1.「博物館の在り方を考える研究懇談会」の開催 前年度(2回開催)に引き続き標記懇談会を4回開催し、博物館行政に関わる近年の状況変化(文化財保護法の改正、観光立国、文化芸術推進基本計画、博物館行政の文化庁への移管、社会教育施設の所管の弾力化など)に対する博物館側の対応およびICOM大会後を見据えた今後の博物館の在り方について論議を行った。開催経過は次のとおり:第3回:2019年4月17日(出席者11名)、第4回:5月22日(出席者10名)、第5回:年7月24日(出席者10名)、第6回: 11月8日(出席者11名)、会場はいずれも日本博物館協会会議室(東京都台東区)。 2.学会およびICOM京都大会への参加 全日本博物館学会第45回研究大会(6月22‐23日、新潟県長岡市)に参加し、口頭発表(山西:「博物館法をめぐる諸課題と法改正の展望」、佐久間・釋:「展示意図・目的に沿った展示事業評価をめざして」)を行った。またICOM京都大会(9月2‐7日)に参加し、本研究に関連したセッション「ICOM博物館定義の再考」および博物館定義に関する臨時総会などに出席した。 3.その他 大阪市立自然史博物館・大阪自然史センターの主催によりミュージアムショップの在り方に焦点を当てた研究会を4月27日に開催し、2名の外部講師(山下治子氏、可児光生氏)を招聘した。また1の研究懇談会において参照の必要があったイギリス博物館協会による「倫理規定:追加指針」の翻訳作業を専門家に委託して実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2ヵ年にわたって「博物館の在り方を考える研究懇談会」を6回開催し、博物館評価のみならず博物館法・登録制度、社会的役割、倫理、学芸員制度と人材養成、資料、動物園水族館など今後の博物館の在り方に関わる多岐にわたるテーマについて闊達な論議を行うことができた。研究懇談会の問題意識を全日本博物館学会の研究大会において口頭発表した。これらのテーマうち、「学芸員制度と人材養成」のテーマについては、今後さらに関係者による論議の深化とコンセンサス形成の取り組みが必要と考えられる。しかし、新型コロナウィルス感染拡大により引き続く研究懇談会の開催が困難となっているために、これまでの論議の内容に基づく論考執筆を参加者に依頼し、それらを集約する取り組みを現在進めている。 また博物館総合調査などの客観的なデータに加え、現場学芸員が感じている状況を調査するため、アンケート調査の準備を進めたが、やはり新型コロナウィルスなどによる混乱を避けるため延期した。 9月に開催されたICOM京都大会においては、将来の博物館の在り方に深く関わる「博物館の定義」について、規約の改定が提案され、社会的役割を軸としてさまざまな角度から論議された。この大会に参加することによって、論議の内容を直接把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在とりまとめを進めている「博物館の在り方を考える研究懇談会」参加者による論考集については、今年度の早い時期に編集を終え、本科研事業の中間的な報告書として出版する。 2019年度になって、博物館界においては文化審議会への博物館部会の設置、文化観光推進法の制定などの新しい状況が生み出された。またICOM京都大会が遺した成果や課題を受け継いで検討していくことも博物館関係者にとっての宿題となっている。本事業では引き続き「博物館の在り方を考える研究懇談会」を開催することによってこれらについて論議していきたいと考えている。さらに可能であれば、「学芸員制度と人材養成」のテーマについて、広く関係者に呼びかけてシンポジウム形式の研究集会を開催する。また懸案となっているアンケート調査もウェブ上で実施したい。これらの成果は本科研事業の最終的な報告書として出版する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に「博物館の在り方を考える研究懇談会」第7回を開催する予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大を考慮して次年度に延期したことによる。 2020年度については、研究懇談会およびシンポジウムの開催、成果報告としての論集刊行、ウェブアンケート実施のために必要な旅費、人件費・謝金等に支出する予定である。
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