研究課題/領域番号 |
18K01175
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
福武 慎太郎 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (80439330)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 東ティモール / コーヒー / 人類学 / 歴史 / 市場経済 / 贈与交換経済 / 水牛 |
研究実績の概要 |
2018年8月よりポルトガルのリスボン大学社会科学研究所に客員研究員として所属し、東ティモールにおけるポルトガル政庁の通貨政策と税制度の経緯について調査をおこなうべく準備を進めている。それに先立ち、この10年程度のあいだに発表された東ティモールに関連する研究論文、なかでもコーヒー栽培農民に関連する論文を中心に読み進める作業をおこなってきた。例えばKelly Silva(2016)は、Administrando pessoas, recursos e rituais: Petagogia economica como tatica de governo em Timor-Leste.のなかで、ティモールの伝統的資源管理の監修を、儀礼における家畜供与に適応し、一定期間の儀礼を禁止するという地方政府主導の試みについて、ガバナンスという視座から分析をおこなった。Chiristopher Sheperd(2014)は、その著書Development and Environmental Politics Unmasked: Anthority, Participation and equity in East Timorのなかで、コーヒー栽培を含む農作物の東ティモールへの導入の歴史的経緯を、ポルトガル時代に遡り考察している。こうした先行研究のなかで、コーヒー栽培導入の歴史的背景、そして現在のコーヒー栽培農民を取り巻く政治経済状況に関する研究が進んでいることができた。他方で、ポルトガル時代の貨幣と税制の導入と伝統経済の変化との関連で、コーヒー栽培導入を論じている研究はないようであることも、改めて確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リスボン大学社会科学研究所に所属しつつ、この十年あまりの東ティモール研究の進捗について確認することができたこと、同研究所に所属することで、英語圏、ポルトガル語圏の東ティモール研究者と交流することが可能になったこと、アーカイブ調査の足がかりが可能になった点から、おおむね順調に調査研究が進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度も引き続き、8月までリスボン大学社会科学研究所に所属し調査研究を進める予定である。過去10年の研究論文の読み込み終了後、アーカイブにおける史料調査を開始する。6月末には同研究所にて、7月にはオランダのライデン大学にて研究成果の発表を予定している。 8月末に一時帰国したのち、9月に東ティモール・エルメラ県における現地調査を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、年度をまたぐかたちで海外調査研究に従事しており、最終的な支出額が確定していないことから、次年度使用額が生じている。
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