本研究は、わが国の非営利法人法制が社団と財団との平準化を進め、後者の特異性に着目しないことへの疑義を出発点とした。両形態の対抗を強く意識するフランス法を検討対象とし、財団の存在態様を考究した。一方で、20世紀初頭の法人法制の激動期に遡行し、財団を冷遇する歴史的文脈を明らかにした。鍵を握るのは、教会内で分別管理され、法人格を持たない財団である。他方で、現代の財団の利用実態を解明した。頻用されているのは法人格を持たない財団である。巨大な公益財団法人が、一定の財産体を受け入れて分別管理し、家族によるチャリティー活動を支援している。二つの要素の接合により、フランス財団法制の系譜が明らかにされる。
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