研究課題/領域番号 |
18K01294
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
寺尾 仁 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (70242386)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 住宅 / 居住 / 区分所有 / マンション / 住宅管理 / 荒廃 / フランス / 気候変動対策 |
研究実績の概要 |
1.フランスの区分所有建物管理の新しい課題である気候変動対策について、気候変動対策のうち、区分所有建物にかかる法制度の展開の概要を把握した。 フランスでは2010年に気候変動対策を正面から掲げたグルネルⅡ法を制定して経営・管理分野での環境情報を範囲を拡大した。さらに2014年のALUR法は、不動産管理の技術革新と透明性の向上を定めた。さらに2015年の法律は、気候変動対策の効率化、環境保全、エネルギー自立の強化、企業・国民が競争力を保てる費用負担でのエネルギー供給を目的としている。 この3つの法律を通して、マンションの管理組合は建物のエネルギー消費と温室効果ガスと新たな事項を管理する義務を課された。具体的には、公法の建設・住居法典によりマンションの管理組合は建物のエネルギー消費および温室効果ガス発生を調査する義務を負い、各区分所有者は区分所有権の譲渡にあたりその結果を提示する義務を負う。また調査の結果、必要となった工事の実施の決定は特別決議ではなく普通決議によって決められることとされる。 2.日本の区分所有法改正を念頭において、フランスの区分所有管理を荒廃対策の観点から整理して、比較考察した。日本のマンションの荒廃対策はもっぱら区分所有法によっているのに対して、フランスのマンションの荒廃対策は、公法と私法の役割分担、建物全般の対策、住宅全般の対策、区分所有建物全般の対策、マンションの対策と重層的な対策が設けられている。、
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行が徐々に収まっているとはいえ、フランスでの現地調査が実施できないため、日本国内で実施できる文献調査に重点を置いたため、住宅・建物の荒廃対策の新しい課題である「気候変動対策」の調査を始め、また本研究課題の成果の骨格をまとめた後ですべき日本法との比較を先行させるといった、研究の順序を混乱させてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
1.本研究課題の目的である、マンションの荒廃対策と居住者の居住生活の回復という段階で研究成果を取りまとめる。 2.「1.」と併せて気候変動対策というマンション管理の新たな課題、荒廃の新たな項目の研究の方向性を定め、次の研究課題の構築に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により、調査および学会発表のための出張を実施できず、そこで収集すべき資料代およびその過程で必要とされる参加費・謝金として予定していた予算が執行できなかったため。
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