本研究は、画像の撮影・拡散によるプライバシー侵害等に対する刑事規制の現状と課題を具体的に明らかにしたうえで、これに対する刑事規制のあるべき姿を立法提案も視野に入れて探究しようとするものである。その際には、ドイツの刑法を比較研究の対象とする。ドイツ刑法には、画像の撮影・拡散によるプライバシー侵害等を処罰する201条aがあり、その参照価値は極めて高いと考えられるからである。
2019年度は、研究実施計画に従い、引き続き準備的な作業を行った。すなわち、画像の撮影・拡散によるプライバシー侵害等に対する刑事規制に関する文献・裁判例を収集・分析・検討するとともに、ドイツ刑法201条aに関するドイツの文献を収集・分析・検討した。とくに、今年度は、後者の作業に力点を置いた。なお、年度末にドイツでのインタビュー調査と資料収集を行うことを計画していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響等のため、実施できなかった。
次年度においては、わが国およびドイツの関連文献・裁判例の収集・分析・検討を継続するとともに、画像の撮影・拡散によるプライバシー侵害等に対するわが国の刑事規制のあり方について、立法提案も視野に入れつつ、検討を進める予定である。
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