研究課題
当初の計画に従い、フランス法における信義則論の展開を全般的に考察することを目的として、前年度までに収集した文献に基づく調査を行った。具体的には、(1)民法典制定期から19世紀にかけての旧1134条・1135条をめぐる議論の分析、(2)現代における両条の適用場面の分析、(3)いわゆるレ・マレショー社判決(商事部2007年7月10日判決)以後の学説状況、特にいわゆるユニラテラリスム(unilateralisme)をめぐる議論の分析を行った。これらについては、内容が多岐にわたるため、今後、考察の対象を絞り込んで成果公表に結びつけることが必要になると考えている。2020年度日本私法学会大会のシンポジウムにおける報告のために、契約当事者の判断能力に関する法的規律を考察することに時間を割いた。これは、直接には本研究の課題に関わるものではなく、本研究の比較法的検討の主たる課題であるフランス契約法の研究に直接に取り組むものでもないが、民法におけるいわゆる現代的暴利行為論の展開、消費者契約法におけるいわゆる困惑類型の拡張について考察するにあたっては、本研究の過程で得られた信義則論に関する認識を活かす機会があった。ただし、本年度は私法学会そのものが中止になったため、成果の公表は次年度以降の課題とされる。以上のほか、昨年度に実施したローラン・エネス教授の講演を公表するための準備を進めた。その間、昨年度までの研究を遂行する過程で面識を得たフランス人研究者との間で、エネス教授の論稿をめぐって議論を行い、最新の研究状況についての理解を深めた。
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