本研究は「自己の正当化の手段としての政治的信頼・政治的不信というものがありえるか」という疑問から出発、特に有事における政治的信頼のメカニズムを明らかにすることを目的とした。2020年2月の千葉県と埼玉県の5自治体住民合計1万人を対象として実施した調査の結果、2011年の東日本大震災による原子力発電所事故に首都圏にとどまった住民は2020年の段階でも当時の民主党政権を自民党政権よりも好意的にみる傾向があること、つまり政府方針に沿って行動制限となる行為を選択した市民は当時の政府を好意的にみる傾向があることが示され、本研究の仮説を否定しない方向にあることが実証された。
|