研究課題
基盤研究(C)
南極地域の非軍事化と科学協力から出発し、資源管理と環境保全を軸とした国際協力体制へと発展してきた南極レジームに対する日本の政策的対応を外交と国内政策の両面から把握し、その説明要因を検討した。南極条約体制の正統性の維持を重視し、調整役を志向しつつも、環境保護や生態系保全の強化に関してはリーダーシップを発揮してこなかった日本の南極外交の特徴を把握するとともに、その説明要因について、ミドルパワー外交、国内政治要因、科学的知見や規範などの認識的要因から検討した。
国際関係論、環境政策論
南極条約の原署名国として、かつ、南極地域における領土権主張を認めない「ノン・クレイマント」として、日本は変容する南極レジームにどのように向き合ってきたのだろうか。また、そうした日本の南極外交のあり方を説明する要因は何か。この問いに対する従来の学術的取組みは極めて限定的であり、本研究の成果には学術的意義がある。また本研究の成果は、遠隔地域の環境保全・資源管理をめぐる多国間枠組みに日本はどのように関与していくべきなのか、政策構想や課題を検討する際の基礎として活用しうる点で社会的意義がある。