米中対立を背景に、経済政策策定にあたり経済要因とともに安全保障面の考慮が不可欠になっている。本研究では、米国と日本の海外直接投資(FDI)規制の形成過程を検討した。米国では、2018年外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)の成立過程などにおいて、政策決定者の動きには選挙区の経済利害に加え、それとは独立した中国に対する認識の影響が強くみられることを明らかにした。日本については、行政主導の政策決定過程の背景に、産業界からの要請があったことがわかった。 安全保障要因が経済に与える帰結の不確実性ゆえ、国内政治の制度や利益集団が経済安保政策に大きな影響を与えていることも、事例分析を通じ明確にした。
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