研究課題/領域番号 |
18K01552
|
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
溝渕 英之 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (10516793)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | Dutot指数 / Jevons指数 / 最良指数 |
研究実績の概要 |
本研究の目標は、推移性を満たす物価指数・数量指数を考案することにある。これまで、推移性を満たす指数として、個々の価格の幾何平均を使って計算されるJevons指数が知られていた。今年度はまず、推移性を満たす指数として、個々の価格の算術平均を使って計算されるDutot指数を、推移性に加えて、いくつかの公準を用いて特徴づける結果を導くことができた。 次に、複数の国々や期間の価格と数量のデータから、価格や数量の変化を多面的に評価するマルチラテラル指数を対象にして、引き続き推移性について研究を進めた。近年、マルチラテラル指数をバイナリー指数とみなして、推移性を満たすと主張する論文が散見されるが、それは、マルチラテラル指数における推移性と、バイナリー指数における推移性を同じものとみなす誤解に基づいており、前者が与えられたデータ間の整合性を要求しているのに対して、後者は、任意の価格・数量ベクトル全般について成り立つ整合性を要求しているところに違いがあるということを、例に基づいて説明した。 また、バイナリー指数の中で最良指数と呼ばれている指数群はいずれも推移性を満たさないことが特徴として知られているが、より条件をあらわす、弱推移性という公準を考案し、その公準であれば、いずれの最良指数も満たすことを明らかにした。最良指数は推移性は満たさないものの、弱い意味での推移性であれば満たすことを示すことで、最良指数の正当化を行うことができたといえる。この弱推移性は、二期間の価格や数量の変化が小さいときは通常の推移性と一致するものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
推移性について、新しい公準を考えるなど、研究を深めることができたから。
|
今後の研究の推進方策 |
価格水準の指標を考案し、それに基づいて推移性を満たす指数を定義するという、当初の研究計画を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大のため、当初参加予定であった学会等が中止になり、旅費を消化できなかったため。
|