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2021 年度 実施状況報告書

小規模地域の経済環境の維持可能性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K01623
研究機関大阪経済大学

研究代表者

小巻 泰之  大阪経済大学, 経済学部, 教授 (80339225)

研究分担者 濱田 武士  北海学園大学, 経済学部, 教授 (80345404)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード小地域データ整備 / 交流人口 / 旅行需要 / EBPM / 経営形態の回帰
研究実績の概要

2021年度は新型コロナ感染症の小康状態の時期に重点的に実地調査をおこなった.結果的にではあるが,Covid-19が共同売店に与える影響について確認することができた.2021年度での研究成果の概要は以下の通りである.
①小規模商業施設へのオンライン調査の実施の可否:実地調査により,共同売店各店の財務データの保管状況について確認した.財務データを電子媒体化しているのは,恩納村・真栄田等少数派である.また,外部に財務データを公開しているのは国頭村・辺野喜しかない.また,共同売店内でネット環境を整えているのも少数派であった.なお,スマホも所有しない責任者の共同売店も2売店みられた.共同売店へのオンライン調査を実施するのはかなり困難である.
②若年層の定住者に関する検討:定住人口の減少に歯止めをかけ,社会基盤を維持可能とする域内人口を保持することは,地域において大きな課題であり,「交流人口」及び「関係人口」の創出が検討されている.しかし,統計データは十分ではなく一般化された定量分析は多くない.年齢別の旅行者データをもとに,旅行需要と定住状況との関係について定量的な分析の可能性を検討する.
③共同売店の新たな動き:Covid-19の拡大により,小規模地域内での感染を抑制する動きから,共同売店での購入が増加したとする売店が多数派であった.他方で,後継者問題がより大きく意識させれたとのことである.その中で,奄美大島の共同売店では責任者の報酬を新設や集落理事会の世代交代を進めている.
また,経営形態でも大きな動きがみられる.集落直営方式へ回帰及び集落のための売店へ回帰である.これは,Covid-19により観光客が共同売店へ訪問することがなく,観光客を目当てにした販売が縮小したことが要因と考えられる.このことについては,共同売店フォーラム2にて成果報告をおこなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度は,国内についての実地調査を再開した.しかしながら,イギリス等の海外事例の調査は未実施となった.
本研究プロジェクトでは補助期間に6つの研究課題を掲げている.その内,小巻(2021)「徳島県における若年層の定住者に関する考察~旅行需要からみた動向分析」では,当該地域への旅行需要と定住状況との関係について分析すると,若年層の旅行が増加して,その後の若年層の移住増加につながっていることを示している.この傾向は若年層以外の他の年齢層では統計的に有意に確認できない.
所得変数の検討については,既存のコアデータである県民経済計算の整備状況と所得変数としての利用可能性(四半期推計)の状況を検討した.
住民出資型売店については,地域の客観的データの海外との比較もある,イギリスの共同売店での取り組みの日本での適用可能性について日本版の試算を行った.その内容は,共同売店にかかる研究成果にも反映させた.

今後の研究の推進方策

本研究は2021年度が最終年次となる.ただし,Covid-19拡大により2020年度以降,研究の進捗はかなり遅れている.そのため2022年度の1年間延長できることになった.ただし,Covid-19は収束したわけではなく,また新たな地政学上のリスクも生じている.
このため,国内での調査を中心に,可能であればイギリスへの実地調査を行う,国内調査については,小規模地域での人口増加が可能かについても検討する.
①「所得変数及び消費変数に関するデータ整備」:2022年度は,引き続き,所得変数に影響を与える地域の感染症対策に関するデータを整備し,その影響について検討する.
②新型コロナ感染症に対する地域の対応策に関するデータ整備:各地域の対応策について,pdfファイル形式で情報を収集している.これを,途切れることなく,逐次収集し,整理の上,データベースとして公開できるようにする.また,現地への実地調査を行い,データ集約の課題について現地の実情をヒアリング調査する.
③小規模地域における人口増の要因分析:「定住促進」のために,これまでも多くの地域で政策が実施されている.しかしながら,一部の地域を除き,多くの自治体では「定住人口」を増加させることが困難となっている.特に,日本の人口動態を考慮すれば,定住政策はゼロサムの状況となってこよう.そこで,「観光プラットホーム」のデータベースをもとに,地域における旅行者需要から,徳島県及び大分県の「交流人口」「関係人口」の状況を検討してきた.2022年度は,当該分析で対象となった地域への実地調査を交えて,データで確認できる状況の適否を確認し,定性的な情報を加味した分析を行う.

次年度使用額が生じた理由

2021年度の予算額はほぼ全額に近い120万円が未使用となった.これは新型コロナ感染症拡大が継続したことにより,現地調査がほとんど実施できなかったことが原因である.特に,2021年度も,いずれ感染症拡大が収束すれば即座に調査を再開しようと考え,調査自体を延期してきた.このことも最終的に未使用金額が増加することにつながった.
2022年度については,Covid-19の小康状態を見極めて現地調査を再開する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 歌志内における石炭鉱業の盛衰と就業構造の変化からみる過疎の考察2022

    • 著者名/発表者名
      濱田武士
    • 雑誌名

      北海学園大学 経済論集

      巻: 69 ページ: 1-26

  • [雑誌論文] Covid-19 に お け る 外 出 抑 制 ~人々の自発的な抑制と飲食店への営業自粛要請~2021

    • 著者名/発表者名
      小巻泰之
    • 雑誌名

      ニッセイ基礎研究所『基礎研レポート』

      巻: 1 ページ: 1-17

  • [雑誌論文] 徳島県における若年層の定住者に関する考察~旅行需要からみた動向分析2021

    • 著者名/発表者名
      小巻泰之
    • 雑誌名

      『分析実践 EBPM推進事業報告書』

      巻: 3 ページ: 35-46

  • [雑誌論文] 「働き方の変革」で過疎地域は変わるのか2021

    • 著者名/発表者名
      濱田武士
    • 雑誌名

      NETT(ほくとう総研会誌)

      巻: 113 ページ: 4-7

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公開日: 2022-12-28  

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