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2022 年度 実績報告書

主観的幸福感を用いた所得再配分政策の評価

研究課題

研究課題/領域番号 18K01673
研究機関京都文教大学

研究代表者

筒井 義郎  京都文教大学, 総合社会学部, 教授 (50163845)

研究分担者 山根 承子  大阪大学, 大学院経済学研究科, 招へい研究員 (40633798)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード幸福関数 / 所得再分配 / 完全平等
研究実績の概要

2022年度は、日本の個人所得と幸福度のパネルデータを用いて、幸福関数を個人効果モデルを推定し、その推定結果を用いていくつかの仮想的な所得再分配シナリオについて日本人全体の幸福度がどのように変化するかを推定した。得られた結果は次のようにまとめられる。①0から10の11段階の幸福尺度で、全員の所得が同じになるように再分配する(完全再分配)と、全体の幸福度は0.026改善する。②中間の所得階層には手を付けず、高所得層に累進課税をして低所得者層に等分に分配する(部分的再分配)と全体の幸福度は0.012改善する。③国民全員について10%所得が多くなると、全体の幸福度は0.013改善する。④したがって、部分的再分配の幸福度の改善は10%の経済成長とほぼ同じ効果をもつ。⑤ 以上は回帰分析を用いた結果であるが、関数の補間法を用いると、①から③の幸福度の改善は、それぞれ、0.0139, 0.080, 0.007, 0.07と、回帰の約5~7倍の大きさであるが、④の結果は確認される。⑥日本人が自分の所得だけでなく、他人の所得との比較でも幸福度が影響を受けるというモデルを用いても、以上の結果は変わらない。⑦本人が自分の所得だけでなく、自分の資産から幸福度を得るというモデルを用いても、以上の結果は変わらない。ただし、資産について再分配を行うことによって所得ほどではないが、日本人全体の幸福度を上げることが可能である。⑧日本の現実の所得再分配について厚生労働省が公表しているデータを用い、補間法を用いてその所得再分配の効果を計算すると、日本人全体の幸福度は0.267改善する。これは完全再分配の2倍の大きさであり、明らかにおかしい。この結果は厚生労働省のデータでは、再配分前の所得として、年金所得を除外しているために起きている。それを修正すると、幸福度の改善は0.071とほぼ、部分的再分配に匹敵する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Dose birthweight matter to quality of life? A comparison between Japan, the U.S., and India2022

    • 著者名/発表者名
      Yamane Chisako、Tsutsui Yoshiro
    • 雑誌名

      Health Economics Review

      巻: 12 ページ: -

    • DOI

      10.1186/s13561-022-00393-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 大学生の学業成績の規定因:パネルデータによる分析2022

    • 著者名/発表者名
      佐々木俊一郎、山根承子、マルデワ・グレグ、布施匡章、藤本和則
    • 雑誌名

      日本テスト学会誌

      巻: 18 (1) ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ナッジ研究における諸課題-倫理的観点から-2022

    • 著者名/発表者名
      山根承子
    • 雑誌名

      日本健康教育学会誌

      巻: 30 (1) ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 性格特性と投資スタイル~Big Five による測定~2022

    • 著者名/発表者名
      山根承子、荒木宏子、野田隆
    • 雑誌名

      ゆうちょ資産研究

      巻: 29 ページ: -

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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