研究実績の概要 |
中低所得国が抱える原罪の問題と債務危機、対外的な起債通貨の選択、対外債務と国内マクロ経済環境の関係等に関する先行研究を調査し、重要な理論的示唆と知見を整理しながら本研究における分析の焦点の明確化を図った。起債通貨の選択が債務負担の重課だけでなく、マクロ経済の循環にまで影響することをいくつかの理論モデルが示唆しているが、十分に実証されておらず、本研究では起債通貨ポートフォリオの選択、為替変動のサイクル、消費の平準化の関係性に照準を合わせて検証するという結論に至った。 上記と同時進行で世界銀行のInternational Debt Statistics、国際通貨基金のInternational Financial Statistics、およびIlzetzki, Reinhart and Rogoff (2017)の為替レジームデータベースから関連データを収集し、ブレトンウッズ体制崩壊後の非先進国における対外債務の起債通貨ポートフォリオの実態とその長期的トレンドの分析を開始した。これまでのところ原罪の問題は長期的にも解消されておらず、特にユーロ導入後は外債の割合の増加とドル一極化傾向がより強くなっていることが分かった。 また、国際水準の研究とするため、ベルギーのUniversite Catholique de Louvainで開かれた国際学術集会に参加し、関連分野の研究者と途中成果の交換や議論を行った。
Ilzetzki, E., C.M. Reinhart, K.S. Rogoff. 2017. Exchange Arrangements Entering the 21st Century: Which Anchor Will Hold? NBER Working Paper No. 23134.
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