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2019 年度 実施状況報告書

対外債務と通貨エクスポージャー:債務危機への非伝統的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 18K01715
研究機関関西学院大学

研究代表者

藤井 英次  関西学院大学, 経済学部, 教授 (20321961)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード対外債務 / 原罪 / 消費のボラティリティ
研究実績の概要

中低所得国における対外的な起債通貨の選択とマクロ経済環境の関係等に関する実証分析をデザインし、主に世界銀行や国際通貨基金等から債務・マクロ経済データを、Powell and Thyne (2011)から政治の安定度に関するデータを収集・整理し、計量分析を開始した。
これまでの暫定的分析結果から、過去40年余りにわたる非先進国の対外債務の起債通貨ポートフォリオの特徴は、先行研究でしばしば指摘されてきた外貨建て債務シェアの増加だけにとどまるものではなく、ポートフォリオ分散水準の低下(つまり通貨ポートフォリオの集中)を伴うものであることが分かった。リスク回避の観点から経済学理論が提唱するポートフォリオの分散とは反対に、実際には通貨ポートフォリオの集中が進んでいる事実は、途上国の債務問題を表向きよりも更に根深いものにしていると考えられる。これらの暫定的分析結果を取りまとめて、ワーキングペーパーを発行すべく執筆を進めている。
2019年7月に滋賀大学経済学部付属リスク研究センターより国際経済学セミナーへの招待を受け、ワーキングペーパーの草稿を報告した。同12月には香港市城大学主催のConference on “Exchange Rates and Macroeconomic Policies: Recent Developments”において報告予定であったが、残念ながら現地の情勢不安により開催中止となった。

Powell, Jonathan M. and Clayton L. Thyne. 2011. Global instances of coups from 1950 to 2010: A new dataset. Journal of Peace Research,48, 249-259.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

データ収集・整理作業を概ね終えて、実証分析を本格的に展開しつつある。

今後の研究の推進方策

今後は起債通貨の選択が債務負担の重課だけに留まらず、マクロ経済の循環、特に債務国の実効為替レートと家計消費のダイナミクスに有意な影響を及ぼすのか否かについて検証を進めていく。対外債務は所得ショックの一時的なバッファーとなり得るため、家計の消費行動は所得ショックと対外債務の両方の影響を受けると想定される。このため、所得と消費の内生性を考慮した計量分析の枠組みが必要であり、その構築を進める。

次年度使用額が生じた理由

香港の情勢不安やCOVID-19の問題により、参加を予定していた国際学会や海外出張を取りやめざるを得なくなったため次年度使用額が発生した。今後、COVID-19をめぐる世界の状況が好転すれば積極的に国際学会等に参加し、海外の研究者との交流を通じて研究の質向上を図りたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Currency portfolio of external debt, exchange rate cyclicality, and consumption volatility2019

    • 著者名/発表者名
      藤井英次
    • 学会等名
      滋賀大学経済学部付属リスク研究センター 国際経済学セミナー
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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