研究実績の概要 |
主に世界銀行や国際通貨基金等から債務・マクロ経済データを、Powell and Thyne (2011)から政治の安定度に関するデータを収集し、中低所得国における対外的な起債通貨の選択とマクロ経済環境の関係等に関する実証分析を進めた。 暫定的分析結果からは、1980年以降の非先進国の対外債務の起債通貨ポートフォリオの特徴として、しばしば指摘されてきた外貨建て債務シェアの増加に加えて、ポートフォリオの分散度の低下を伴うことが分かった。また、そのような通貨選択のトレンドはユーロ導入の前後で大きく異なることも判明した。リスク回避の観点から経済学理論が提唱するポートフォリオの分散とは反対に、実際には通貨ポートフォリオの集中が進んでおり、米ドルへの過度の集中はメリットとデメリットの両方を途上国にもたらしていると考察される。 また、上述の結果の経済厚生上の示唆として、現在負債ベースの実効為替レートのcyclicalityが所得変動下の家計の最終消費に与える影響についての計量分析に取り組みつつある。
Powell, Jonathan M. and Clayton L. Thyne. 2011. Global instances of coups from 1950 to 2010: A new dataset. Journal of Peace Research,48, 249-259.
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