対外債務は新興・途上国にとって両刃の剣である。負のショックに見舞われた際の消費の緩衝材となる一方で、債務の構成通貨と景気循環の関係性次第では逆に消費のボラティリティを増幅させる効果も持ち得る。本研究では中・低所得国を対象に対外債務の通貨構成、為替レートと景気循環の関係性、家計消費のボラティリティの関係性についての実証分析を行った。対外債務の通貨構成に基づく実効為替レートのデータを構築し分析した結果、債務通貨を米ドルに集中させることで債務ベースの実効為替レートは従景気循環性を強め、消費の標準化を妨げる効果を生むことが分かった。成果の詳細は海外の専門家による査読審査を経て国際学術誌に掲載された。
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