研究課題/領域番号 |
18K01738
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
佐々木 淳 龍谷大学, 経済学部, 教授 (10244766)
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研究分担者 |
田中 光 中央大学, 経済学部, 准教授 (00713017)
今泉 ひとみ (宝利ひとみ) 東京都立大学, 経済経営学部, 助教 (80804187)
渡辺 千尋 東洋大学, 経済学部, 講師 (50812731)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | タオル / 洋式消費財産業 / 稲岡商店 / 産地の転換 / 生産体制 / 製品開発 |
研究実績の概要 |
本共同研究では、タオル製造で知られた稲岡工業株式会社(兵庫県加古川市、1962~2012年)の前身である稲岡九兵衛(九平)家(姫路藩長束木綿問屋)・稲岡商店(1891~1961年[1906 年に合名会社化])の幕末期から第一次大戦後の反動恐慌期あたりまでの経営展開を、稲岡工業株式会社文書を用いながら検討してきた。その結果、戦前期の日本で洋式消費財産業としてのタオル製造業が新たに勃興して展開していく、その発展の礎が築かれた一端を稲岡商店の事例を通して垣間見ることができた。最終年度は、共同研究者が3年間の研究成果の取りまとめ(フルペーパー化)を各自で行うとともに、その一部は現地の市民向けワークショップ(第8回わたの里の「記録」・「稲岡工業株式会社文書から見えてきたこと」、「稲岡工業株式会社文書」保存会主催、2021年6月27日)で発表された。 本共同研究の研究成果から抽出される、日本経済史研究上の重要な論点としては、少なくとも次の3点を挙げることができる。第一は、徳川期以来の播州の白木綿産地(姫路[兵庫県])がウェスタン・インパクト(幕末開港の影響)によってタオル産地へと転換していく過程をどのように捉えるかという点、第二は、稲岡商店における創業期から第一次大戦後の本格的な力織機の導入に至るまでの生産体制の問題、第三は、タオルがアジア型近代商品として中国を中心とするアジア地域に輸出されていくに当たって、稲岡商店が、どのようにタオルの国際的な嗜好をキャッチし、市場情報を生かして製品開発を行っていったのかという点である。これらの論点に関わって得られた知見は、今後、同一の共同研究者で構成される2022~24年度科研費研究(戦間期日本の洋式消費財産業の展開とアジア間貿易圏―タオル製造業稲岡商店の事例から―、研究代表者:渡邊千尋)に引き継がれていくことになっている。
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