本研究は既存研究における多様な専門用語の視点,カバーする範囲および条件を精査し,それらの相違点と到達点の整理を通じて,製造業のサービス化現象をめぐる関連概念の使用の厳密性に直結する情報を提供した。また,実証研究を通して特定の製造業におけるサービス化の実態と特徴を明らかにするとともに,その戦略形成プロセスの根底にある困難性とジレンマに焦点を当てた。本研究の結果によって,既存理論と実践のギャップが浮き彫りになっただけでなく,製造業のサービス化が期待とおりに結実するために,既存の関連理論の拡張の必要性が強調され,実践における非連続的な変革の必要性が示唆された。
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