研究実績の概要 |
本研究では、日本には破壊的イノベーションを志向する企業があるが、両利きの経営の実現のためには、組織構造と運営体制の刷新のみでは足りず、「えいやっ」の実行力を後押しする企業文化とリーダーシップが必要になる仮説に立脚し、企業行動を変革するためには何が必要か、明らかにする。 分析手法としては、インタビュー調査に基づいた質問票調査と実証分析、さらに、両利き経営分析における日本企業の特性を明らかにするために、追加的に、複数ケーススタディを併用する。
本年度は、調査における分析フレームワークを最終的に同定するために、既存質問票調査で構築したデータベースについてさらに理論的考察を継続した。その結果、欧米で開発された両利き経営研究を日本企業を対象として適用する際に、どのような修正等が必要かに関して、一定の知見が得られた。その成果は、T.Shibata, Y. Baba, M. Kodama, J. Suzuki, "Managing amdidextrous organization for corporate transformation: a case study of Fujifilm" R&D Management,として発表済みである。
さらに、進行中の研究では、企業トップのリーダーシップに依拠する組織改革と、ボトムアップによる企業風土の改善、また、それによる企業行動の活性化が二者択一的な戦略オプションでなく、成功事例に限定して観察すると、二つの観点が同時に満足される可能性が明らかになった。この発見を受けて、現在、同仮説のさらなる検定作業を行っている。
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