第一に、統治性概念に依拠することで、従来のソーシャルマーケティング研究では捉え難かった、市場原理の導入に代表される直接的には介入しない介入が捕捉できることを示した点、第二に、返礼品競争にみるように、コマーシャルマーケティングの応用としてのソーシャルマーケティングが生み出してしまう社会的倒錯という落とし穴や課題の存在を指摘した点が、本研究の主要な学術的意義である。加えて、これらの研究成果を基に、社会的倒錯を前提としたドナーロイヤルティの獲得はいかに可能かを検討するという更なる研究課題を導出した点や、拡張的研究の方向性として、家族規範と消費の関係に関する研究課題を導出した点も本研究の意義である。
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