研究課題/領域番号 |
18K01879
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
閔 庚ヒョン 香川大学, 地域マネジメント研究科, 教授 (40508206)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 店頭広告 / 店頭エンゲージメント / 店舗特性 |
研究実績の概要 |
本研究では、店頭広告の誘因効果に関して、既存に提示されている店頭広告の効果測定モデルに依拠しつつ、店頭コミュニケーションにおける識別手段としてエンゲージメントという概念を採用し、特定の購買関連期待値がエンゲージメントを介し最終的な成果行動へ移行される補完・代替的経路をより精巧に規定することで、店頭におけるエンゲージメントの効果測定方法を明らかにすることを目的としている。昨年度は、店舗特性に対する消費者の知覚水準が店頭・広告エンゲージメントとの相互効果を通じて成果行動の質を向上させることが確認された。それに基づき本年度は、店舗特性の構成要因を細分化し、本年度実施予定であった店舗での実験調査のための検証モデルの設定及び調査設計を行った。まず、店内における実験調査の実施を通じて広告情報と周辺情報の相互効果及び誘因間の相対的優劣関係に関する検証を行うべく、店舗特性の構成要因を再整理すると共に、店舗特性に対する顧客の知覚水準を事前に把握するための測定項目の抽出を行った。また、評価対象となる商品の関与水準の影響を考慮しつつ、被験者の初期条件を規定する変数を検証モデルに追加することで、多様な情報がインプットされる店内の各種コミュニケーション・ツールの相対的重要度を把握するのに必要な測定項目を抽出し、実験調査に向けた準備作業が完了した。それにより検証モデルや各変数の測定項目、調査票、実験工程など、実査レベルに関連する準備作業及び実施後の分析フレームを明確に規定することができた。ただし、本年度実施予定であった店舗における実験調査は、新型コロナウィルス感染症の影響により実施が困難であったため、事業期間延長申請を行い次年度に実施することにした。次年度は、本年度実施予定であった実験調査を実施することで、広告情報と周辺情報の相互効果及び誘因間の相対的優劣関係に関する検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までの研究では、店舗特性に対する知覚水準に焦点が当てられており、店舗特性を構成する各次元の個別効果に関する検証は行われていなかった。本年度実施した調査設計及び検証モデルの点検・修正により、昨年度の研究において想定していた検証モデルにおける変数をさらに拡張するとともに、店舗特性の構成要素を整理し各要素が後続変数に与える影響の詳細をより明確に規定するための分析フレームを抽出することで、モデル全体の外的妥当性を確保するための点検・補完作業を行った。それにより、店頭広告のコミュニケーション効果を規定するインプット情報間の相対的重要度を検証することが可能となり、次年度実施予定の実験調査を通じて、店舗特性を構成する要素からターゲット顧客の個別特性との適合性が高いものを把握・抽出し、店内コミュニケーションの現場で活用できる効果的なコミュニケーション戦略の立案に貢献する方法論的観点が見出せると考えられる。 本年度行った点検・補完作業は、次年度実施予定の実験調査の設計及び精度確保上、重要な理論的根拠となるものであり、その結果は当該調査で想定される変数及び経路の拡大につながるものとなっている。最終的な検証作業である実験調査は新型コロナウィルスの感染リスクを考慮し次年度へ延長したものの、本年度の研究により検証モデルや実験での測定項目及び調査票、実験工程など、調査設計の詳細が確定するとともに、実査レベルに関連する準備作業及び実施後の分析フレームを明確に規定することができた。このように、次年度実施に向けた準備は完了しているものの、事業期間延長分の実験調査は本年度に実施できなかったため、当初の研究計画と照合すると、現時点における本研究はやや遅れていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度実施した検証モデル及び調査工程の点検・補完作業の結果を基に、以下の問題に焦点を当て、店舗における実験調査を行う予定である。本調査では、最終的な考察範囲を「環境情報及び各種エンゲージメントの精巧化」「広告と環境情報との相互効果」へ拡張させており、後続効果における同化的・対照的傾向を強化もしくは緩和させる方法論的観点をより精巧に規定するための検証を行う予定である。 1.環境情報と各種エンゲージメントの相互効果及び誘因間の相対的優劣関係:インプットされた環境情報が広告情報の誘因効果の水準を代替するものになるかという問題に加え、複数の店頭広告からなる混合条件における両者間の相対的優劣関係を究明するべく、単一カテゴリーを評価対象とした実験調査を行う予定である。 2.誘因効果の測定:誘因操作の対象となる環境情報を店頭広告の提示情報と一致するものと相互対照的形態となるものに分類した上で回答者に順次与え、各条件における不一致(±)形態が広告認知と広告及びブランド態度、そして成果行動の水準といかに関連しているかを測定する。その際、各種エンゲージメント水準の差を顕在化させるために、操作対象となる環境情報を「広告との不完全一致条件」と「不完全不一致条件」とで水準調整を行う。なお、回答者には購買状況に関するシナリオを事前に与え、実験調査中生じ得るフィールドとの誤差を最小化するための条件を随所に設定することで、検証モデル全体の精度を向上させる予定である。 本調査は、本年度実施する予定であったが、新型コロナウィルスの影響を考慮し、事業期間延長申請を通じて次年度に行うことになっている。次年度、状況の改善が見込めない場合は、本実験調査をシナリオ法に基づきWeb上で具現する方法で代替することも想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、本年度実施した実験調査を新型コロナウィルスの影響を考慮し次年度に延長しため、実査費として計上されていた研究費を使用していないことにある。事業期間延長により次年度に移行された研究費は、模擬店舗を想定した実験調査に参加する回答者のリクルート費用や回答者及び協力者への謝金に割り当てる予定である。なお、その他に、研究に関連する参考書籍の購入にも一定額を割り当てる予定である。
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