政府の成長戦略を受けて行われてきた日本企業の中長期的な企業価値向上のための経営者報酬をめぐる近年の制度改革が日本企業によってどのように受け入れられてきたかという問題意識のもと、上場会社の経営者報酬体系の実態を調査した。その結果、会社法制や会計基準の改正を受けて、コーポレートガバナンスに資する業績連動給与の採用が増加傾向にはあるが、まだ十分とはいえず、特に税コストへの配慮から不効率な報酬体系が温存されていることがわかった。この結果は、コーポレートガバナンスの観点から望ましい経営者報酬体系のあり方を検討するには日本における税務計画のエコシステムの実態の解明が重要であることを示唆する。
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